今年も冬の妖精たちがやってきて、あたりの風景を冬色に変え、雪だるまや雪うさぎをつくっていきます。そんな中、気まぐれに生まれたのがまっしろなねこ「ユキ」。ユキにとって、全てが初めて見る世界。楽しい毎日を過ごします。ある日、ユキは小さなことりに出会います。
「きれいな色……」
ユキは驚き、見とれてしまいます。ユキにとっての世界は白と青だけだったのです。ことりに「春」の存在を教えてもらったその時から、ユキは春に夢中。けれど仲間の雪だるまたちから、自分たちは冬にしか生きられないということを聞くと……。
まだ見ぬ「春」という季節に強く心を惹かれていくのは、雪でできた存在である主人公のユキ。色にあふれ、あたたかい日の光に満ちた世界に憧れながらも、同時にそれは「別れ」を意味することでもあるのです。切なくも悲しい状況でありながら、懸命に運命と向きあうユキ。そんなユキに対して、別れは終わりではなく、はじまりなのだと伝えてくれるこの物語には、確かな希望が存在しています。
作者は、イタリアと日本を拠点に活動する人気の絵本作家・刀根里衣さん。白と青を基調にした繊細な色彩の美しさ、キャラクターの愛らしさだけでなく、うつりゆく季節や運命の変化を感じさせるあたたかい色調に心があたためられるようです。「死ぬことがこわい」という率直な問いから生まれたというこの一冊。生や死について、やさしくじんわりと考えるきっかけになってくれるのではないでしょうか。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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春を待ち望む気持ちは、どうしてこんなにも切なく、あたたかいのだろう。
本作は、冬から春へと移りゆく季節のなかで、「命の循環」「別れと再生」という普遍的なテーマを、やさしく静かに描いた絵本です。
主人公は、冬の妖精たちによって生み出された、まっしろな猫「ユキ」。
雪でできた存在であるユキは、小鳥との出会いをきっかけに、まだ見ぬ「春」という季節に強く心を惹かれていきます。
色にあふれ、あたたかさに満ちた世界――その憧れは、同時に、避けられない運命とも向き合うことを意味していました。
この絵本が描くのは、「死」や「別れ」を恐ろしいものとして突きつける物語ではありません。
消えてしまうこと、失うことを、終わりではなく、かたちを変えてつながっていくものとして見つめ直す視点が、全編を通して静かに流れています。
雪が溶け、大地に還り、また次の季節へと受け渡されていくように、命もまた循環していく??その感覚が、言葉と絵の余白から自然と伝わってきます。
作者は、イタリアと日本を拠点に活動する絵本作家・刀根里衣。
国際的に評価されてきた繊細な色彩感覚、とりわけ印象的に使われる「青」は、本作でも重要な役割を果たしています。
本作は、「死ぬことがこわい」という率直な問いに向き合うなかで生まれた一冊。
悲しみを無理に乗り越えさせるのではなく、そっと隣に座り、考える時間を差し出してくれる絵本です。
悲しさの中にも、確かに希望はある。
生や死について、やさしく考えたい、伝えたい??そんなすべての人の心に、静かな余韻を残してくれる作品です。
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