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夜中に目をさますと赤ん坊の妹が暗闇にむかって、誰かに話しかけている。ひとりでトイレにいけなくなるほど、こわい怪談10編。
2009年刊行。10人の作家による怪談・小編集。現代を生きる小学生が学校内、家庭、旅行先、近所などで体験する奇妙な出来事。それぞれタイプの違う作品が楽しめます。
一番面白かったのは「水虫ゆうれい」(横山充男・作)。怖い話ではありませんが、妙な展開で印象に残った。登場人物がどんどん消されていく理不尽な展開の恐怖ものもあれば、人の心の温かさを感じられるものもあります。怖いだけが怪談ではない、いろんな世界が待っています。
一番怖かったのは「暗闇からのびる手」(ばん ひろこ・作)。話の筋よりも、むしろ、家庭内の人間関係の歪さや、死後に自分の行くべきところに行かず、家族に干渉し続ける死者の身勝手さが恐ろしく感じました。怪談、という趣旨からは外れるかもしれないが、生きている人間のえこひいきや勝手なふるまいが一番恐ろしいと思った一編です。
文字が大きく、話も1話完結なので、どこから読んでもよいでしょう。
大人が読んでも楽しめると思います。人間の想像力の豊かさ、いろんな異界をさまようような読書体験ができます。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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