森の奥の、ずっと奥にあるようちえん。
行ったことはなくても、誰でも知っていてうわさにしているようちえん。
ちょっとのぞいてみましょうか。
ある日お花のふらわあちゃんがニコニコして言います。「あさごはんがだいすきなおうどんでうれしかったの」。
ゾウのはなながくんは、無くしたと思っていた青色のクレヨンを見つけたこと。ぼっくすくんは一人で本のおはなしを読めたことがうれしいと言います。
そんな子どもたちに、頭に枝が生えている(!)みどりせんせいは、いつも言ってくれるんです。
「うれしいことをみつけるこは、いいこ」。
『いぬうえくんとくまざわくん』や『ゆうたくんちのいばりいぬ』シリーズのきたやまようこさんが描く、幼児向け雑誌『たのしい幼稚園』の人気連載が、1日1話絵本として登場しました。
不思議だな。おもしろいな。きれいだな。楽しいな。うれしいな。おいしいな。かなしいな。
日常の中で子どもたちが感じる気持ち。発することば。その活き活きした表情や、先の読めない突拍子もない行動。
幼稚園での生活の何気ないひとコマを、きたやまさんが優しいことばとイラストで丁寧に、そしてほんわかとすくってくれる「うわさ」が、ギュッと31日分、詰まっているんです。
そしてみどりせんせいが子どもたちにかける「いい子」という温かいひとことは、大人が忙しい毎日でつい忘れがちだったことに気づかせてくれます。
どんなに短い時間も小さなできごとも、子どもたちにとってはかけがえがなく、キラキラしていて豊かな瞬間なんだということ。
改めてその成長をかみ締めながら、お話とともに一日いちにちを大切に過ごしていきたいな、と感じます。
今日は『あ』のつくものを見つける散歩です。きょろきょろ探し歩く子どもたち。
「あおいそら」「『あ』のつく ありのぎょうれつだ」「あかとんぼも『あ』がつくね」。
「おなじみちをさんぽしても、ちがうものをみつけるこは、いいこ」って、みどりせんせい。
このお話を読んだ後は、きっといつもの散歩道にも、新しい発見がありそうですね。
(竹原雅子 絵本ナビ編集部)
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