図書館で息子が見つけてきました。表紙の大きなロバの顔と、それを見上げる3羽のカラスの姿が印象的です。
ロバのナポレオンは、機織りをしながら一人で男の子を育てているマーラという女性に飼われているのですが、ある日カラスと親しくなります。カラスは皆に嫌われているのに、ナポレオンは毎日、カラスに巣を作るための干し草を一口あげるのです。
しばらくすると、マーラが病気になり、ナポレオンは売られてしまい、お百姓に買われてこき使われます。カラスはナポレオンを見つけ出し、また干し草をもらっていきます。ところがカラスがその干し草を病床のマーラに届けると、それは金の糸に変わっているのです。元気になったマーラはカラスが運んでくる金糸を使って布を織り、高く売ったお金でナポレオンを買い戻すことができ、ナポレオンも以前のようにマーラとその息子と幸せに暮らすことができるという展開です。
一言で言うなら「カラスの恩返し」ですが、それがロバのやさしさを中心に描かれています。すべての登場人物がそれぞれ静かに生きていて、とてもやさしい気持ちになれます。
裏表紙にはスイスの絵本と書かれていますが、人々の服装や暮らしぶりは東欧から中東にかけての農村のようにも思えます。絶版なのが残念です。