夏になると恐ろしげな怪談話を聞いて涼をもとめたというのは昔の人の知恵ですが、
最近の酷暑の夏ともなれば怪談話ではさすがに涼しくなるとも思えません。
しかし、案外この話なら、ひんやりするかもしれないと思わせてくれるのが、
小泉八雲の怪談話を絵本にした東雅夫さん編の「八雲えほん」の4冊めとなる
『ゆうれいだきのでんせつ』です。
話の内容もそうですが、
朱華さんの絵がなんともこわい。
怖い幽霊や妖怪の姿を描いたわけでもなく、ただ透明水彩を使った絵が幽かで、
血を椿の赤い花びらで描いているのも間接的な効果があって怖い。
物語は農家の女たちが集まっていた際、夜ゆうれい滝に一人で行って、
そこにある賽銭箱を持ち帰ったら褒美がもらえるという話に、
おかつという若い嫁が手をあげる。
おかつは幼い子を背負い、ゆうれい滝に向かい、賽銭箱を持ち帰ることに成功。
しかし、背負っていたはんてんをとくと「アラッ、ちが」と叫ぶ声が。
この叫び声については、八雲の妻のセツさんの回想によれば、
何度も「あらっ、血が」と叫ばさせられたという。
おかつが背負っていた子どもの頭がもぎとられていたこの場面、
確かに怖い。
そういえば、昭和の子どもたちは夏になれば「肝試し」と称した
夜の寺や神社に一人で行くそんな遊びがあったが、
これも最近では夜でも明るいから成立しないだろう。
今年の夏もきっと暑いんだろうな。