随分昔に読んだのですが、最近無性に読みたくなって、本屋さんで探しました。
新装版になっていて、「6年生の本」という帯がついていました。
もう少し下の学年を対象としているのかと思っていました。6年生なんだ、とちょっと不思議な感じを受けましたが、心が少しずつギザギザしてくる高学年に、この本のほんのりとした穏やかさが必要なのかもしれません。
お話は、くじらといるかのささやかな日常を綴ったものです。
劇的な展開や大事件は起こりませんが、確実に日々を送っていく姿と、相手を想う穏やかな空気を感じることが出来ます。
何気なく書かれた文の中に、どきっとするような素敵なものがあったり、思わずじーんとするようなものがあったりして、読んでいると心がふっと軽くなります。
多分、くじらといるかは、お互いに“コドクが好きなタチである”という大前提があり、その上で“時々誰かと一緒にピール(お茶)を飲みたくなる”という状況になるので、お互いにもたれ合わず、お互いを尊重した関係を築いていくことができるのでしょう。
そこには、理想的な友だちの有り様が見られます。
声に出して読んでも、自分で読んでも、誰かに読み聞かせてもらっても、心にすっと沁み込んでくる素敵な本です。