きみは、いっぽんの木。
丘の上に立ち、枝は空へとのび、根っこは地球とつながっている。光をあび、風や雨をあびて生きている。
蜜を探し、たんぽぽや菜の花にひらりひらりとはばたくきみは、いっとうのちょうちょ。土の中で生きるもぐらに、風にのって高く遠くへ飛んでいく鳥。毎日冒険、くんくん発見、猫に犬。ちょこちょこ歩いている小さなアリ。長い鼻を空に向かってつきあげているのはゾウ。生きものの背中をなでながら、一気に駆けていくのは?
地球の上では、太陽の光をわけあいながら、ありとあらゆる命が生きている。小さな生きもの、大きな生きもの、病院にいるきみも、宇宙にいるきみも。ブランコやかさも。どこかで出会い、どこかで繋がりながら、それぞれがそれぞれの命をめいっぱいに生きている。
そして、これから生まれてくるのは、他の誰ともちがう、たったひとつの命。きみは……。
かけがえのない命を授かり、この地球上に生まれてきた私たち。それは特別なことであると当時に、他の様々な命と共に生きている存在でもあるのです。だからこそ、その姿を見て、気持ちを想像し、喜びを分かちあうことで、胸がいっぱいになるのでしょう。
宇宙から見ると、地球は小さなひとつの星。そんな中でたくさんの命が生きている奇跡をうたうこの詩を書かれたのは、絵本作家であり詩人のやまぐちりりこさん。その詩の世界を、ゆったりと瑞々しく、風が吹き抜けていくような爽やかな絵で描きだしているのが松成真理子さん。その繊細で儚げな生きものたちの存在感、力強く壮大で美しい風景。それらを見ながら、「今」を生き、世界とつながっている喜びを感じることができるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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きみは いっぽんの 木
おかの うえに たっている
えだは そらへと のびている
ねっこは ちきゅうと つながっている
ひかりをあびて かぜをあびて あめをあびて
いきている
小さないきもの、大きないきもの、風、ブランコ、かさ、病院にいるひと。
ひとつひとつに心をよせて。すべてのものとつながりながら、生きていることのへ喜びをうたう絵本。
【作者のことば】
公園で、大きな木をながめていたら、こんなことを思いました。
「もしもわたしが、あの一本の木だったら、どんな気持ちだろう?」
足下では、小さなアリが歩きまわっています。
「もしもわたしがアリだったら?」
つぎからつぎへと、いろんなものの気持ちを想像してみました。
「鳥だったら? 犬だったら?」
それぞれがみんな、じぶんの場所で精一杯生きていることを感じて、胸がいっぱいになりました。
地球は大きいけれど、宇宙からみたら小さなひとつの星です。
その地球のうえで、太陽の光をわけあい、どこかでつながりながら、たくさんの命が生きているということ。今、じぶんがここに生きているということ。
そんな奇跡のような「今」を、みなさんと一緒に感じられたらうれしいです。
(やまぐちりりこ)
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