あさ、目がさめると、雨がふっていた。
男の子は、暗い空と雨粒がうちつける窓をながめながら、家の中でほおづえをついています。
「ああ、そとにいきたいなあ」
おじいちゃんは、「うちにいなさい」というけれど、ぼくは雨のなかであそびたい。
みずたまりにパシャーンってとびこんだり、雨粒を口で受けたり。
でもおじちゃんはこういいます。
「まあ、まちなさい。あめがやむまで」
雨がふりつづく外の世界。
やんだかな?と思っても……まだふってる!
水かさはどんどん増す一方。
どうなっちゃうのでしょう?
イギリスで活躍するイラストレーター、サム・アッシャーの絵本。
灰色で薄暗い外と、あかるい家の中。
ついに雨が「やんだ!」という瞬間の、色あざやかな青空をうつす水。
ページをめくったときのコントラストが心地よい絵本です。
おじいちゃんはぼくのおしゃべりをただ聞いていたわけじゃありませんでした。
「ふねにのって、うみのかいじゅうとあそびたいな」
「みずにうかぶまちにいってみたいな」
ぼくの願いは聞き入れられ……。
おじいちゃんとぼくが、雨がやんだあとに出かけた外の世界には、船がいっぱい、楽しそうなものがいっぱい。
まるで水上の街のカーニバル!
雨がやむまでの気持ちを丁寧に描きつつ、雨がたくさんふったときならではの、ファンタジックな楽しい世界を描き出しています。
おじいちゃんと孫の雨の一日。
美味しいココアがあればさらに素敵。
雨の日に読んで、想像力をふくらませて楽しみたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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