朝起きたら、かみの毛がへん。
「どうしよう」
みんな笑うだろうなあ。はずかしいなあ。学校行きたくないなあ。でも今日の給食はきなこあげパンだしなあ。
ぼくはひとりしかいないのに、「どうしよう」と思うと、いろんなぼくが出てくる。これは大変だ。そのうえ解決しそうになると、今度は別の「どうしよう」が生まれてくる。ろうかを走ってみたい。憧れのかほちゃんがやってきた。どのアイスクリームも美味しそうで選べない。
「どうしよう」
強気なぼくに弱気なぼく、優しいぼくに意地悪なぼく。毎日毎日新しい「どうしよう」が生まれて、ぼくの心は大騒ぎ。ぼくって変なのかな!?
大人は様々なことを教えてくれるけど。子どもたちの心の中に生まれた「どうしよう」は、そんなに簡単に解決なんてしないよね。浜田桂子さんが優しくユーモラスに描き出すのは、子どもたちの本当の気持ち。あれもこれも、どんな考えも否定せず、まずは自分で受け入れて、大切に向き合ってみようと提案してくれるのです。
自分に興味を持つこと。そんな自分をちゃんと包みこんであげること。それができるようになれば、きっとまわりの人の気持ちも見えてくるでしょうね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む