ここは山奥の温泉宿。
たいそう評判でお客も多いのですが、ここのところ、そのお客を狙って山賊があらわれるように。
客足遠のく温泉宿が山賊退治を依頼したのは、“しょうが”の忍者、しょうが丸。
妹でくのいち忍者の紅と、助っ人寿司職人の梅さんを引き連れ、山賊退治にいざ、出発!
「お前たち、一足二足のはきものを片づけにきた」
「なんのことだ」
「あわせて、『さんぞく』退治」
リズミカルでシャレのきいた言い回しが本作のみどころ!
しょうが丸と山賊たちとのにぎやかな大立ち回りに、独特の小気味良い台詞があいまって、軽やかなテンポがなんとも痛快な作品です。
声に出して読んでみても楽しく、読み聞かせにもぜひオススメしたい一冊です。
そして、忍者がしょうがなら、山賊もまた、ただの山賊ではありません……。
どこか宇宙人めいたデザインがユーモラスな彼らは、なんとみんな山菜!
そのなかには普段、あまり食卓にはあがらないものもあります。
梅さんの山菜紹介のページも合わせて、近ごろでは子どもたちにあまりなじみのない山菜という食材について、楽しみながら知るきっかけにもなります。
しょうが丸の忍術と、紅の知略が、山賊たちと激しくぶつかりあう!
そして、忘れちゃいけないもうひとり。
そう、助っ人の梅さんです。
潮の気配も遠い山奥で、寿司職人の梅さん、その活躍やいかに?
「梅さん、あとはまかせたよ!」
しょうが丸の声援がとぶ。
これがほんとの、ジンジャーエール――
(堀井拓馬 小説家)
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