八月は鎮魂の月です。
お盆には亡くなった人たちの御霊を思い、
広島長崎と原爆によってたくさんの命が犠牲になり、
ようやくにして長い戦争が終わったのも、八月です。
なので、どうしても八月になると、戦争で犠牲になった人たちのことを思っていまいます。
映画やドラマ、あるいはドキュメントなどで戦争が取り上げられることも多い。
飯野和好さんの絵本『もんぐらかっつあんの歌』もそんな一冊です。
でも、飯野さんは声高に戦争やそのことで犠牲となった人たちを描いているわけではありません。
絵本に登場する「もんぐらかっつあん」は、飯野さんが子供の頃、
故郷埼玉県の長瀞町の駅前広場でよく見かけた不思議なおじさんのことです。
おじさんは町なかでゴミを拾い集めて、駅前のゴミ箱に捨てていきます。
子供たちが「おーい、もんぐらかっつあん」と呼びかけると、
いつもひょうきんなおどりでこたえてくれます。
おじさんは東京の人で、戦争で南の島に送られ、大変なめにあって帰ってきたといいます。
でも、帰ってきても、空襲で家も家族もなくなっていました。
おじさんはそれから放浪の旅に出たそうです。
「とにかく戦争はだめだ」
おじさんはいいます。
そんなおじさんが月夜の夜、川で魚たちと戯れる場面こそ、
いのちの賛歌といえます。
生きていることを全身で表現する、もんぐらかっつあん。
そのあとで、もんぐらかっつあんは長瀞の町からいなくなります。
不思議なおじさんのことを思いつつ、
飯野さんはこの絵本を祈るように描いたように思えてなりません。