不思議なお話ですが、お話の世界にいつの間には入り込んでいることに気づきます。私が猫好きだからでしょうか?
木枯らしに乗って評判を聞き、遠く離れた裏地屋にやって来たエメラルド色の目をした黒猫。最後まで名前は書かれていませんが、多分素敵な名前がついているのでしょう。上等のカシミヤの黒のマントに絹の裏地をつけたいと。なんて素敵なのでしょう。たくさんの赤の中から薪ストーブの炎の色をした赤の裏地を買って帰ります。寒くてやりきれないときには確かにその色! あったまるでしょうね。
裏地屋の山中さんはもっともっと話していたくて食事に誘いますが、帰ってしまいます。またいつか、季節に応じた色を探しに、素敵なことを教えに来てくれるといいですね。山中さんはブイヤベースを作りながら待っているでしょう。