秋の色がとても暖かく、落ち葉や小さなきのこも、動物の毛の1本1本までも丁寧に描かれた、きれいな絵本です。作者の名前を最初に確認していたからか、ロシア的な絵だな、という印象をもったのですが、そんなことは何も知らない娘も、キツネの絵を見て、「きつねのだんなかなあ?」と言ったのには驚きました。「きつねとねずみ」(ビアンカ作)の絵を思い出したんですね。お母さんと小さな男の子の服装の色合いも、素敵です。男の子がはっぱを見つけ、「ぼくのてぶくろにぴったりだ」と、手を重ねる場面。男の子の手は、とても大きく見えるのですが、娘もその上に手を重ね合わせてみると、男の子の手よりも3センチほど指が長く、はっぱからもはみ出してしまい、「いつのまに、こんなに大きくなって・・・」と、なんだかじーんときてしまいました。いっしょに森を散歩する時間も、絵本を読む時間も大切にしたいな、と改めて感じた瞬間でした。
【事務局注:このレビューは、「もりのてぶくろ」ちいさなかがくのとも 2004年11月号 に寄せられたものです。】