まくらの仙人が、お供のしきさん、かけさんと散歩をしていると、どうやらおかしなことが起きている。ぞうさんがもがいているのです。どうなっているのかと言うと。
「鼻が穴から抜けなくなってしまって。ふんが、ふんが」
それはお困りだ。すると隣では、なんときりんさんが「ふんぎ、ふんぎ」。その隣ではうさぎさん、たこさんまで……。みんな穴から抜けられなくなってもがいている。
「これは、ただごとではないな」
そうなのです。ただごとではないのです。何とかしてくださいよ、仙人さま。ところが、その仙人さままで!? ダメじゃない、仙人さま。もうどうにもならないかと読者のみんなが諦めかけたその時。
「こうなったら『そこのあなた』に頼むしかないな」
えっ、そこのあなたって、誰のこと? すっかり話に夢中になっていたけれど、ここまで来てはっと気が付くのです。どうやらこの絵本、ただの絵本ではないってことに。予測もしなかった驚きのしかけが隠れているってことに。
かがくいひろしさんがのこしてくれたのは、ちょっとへんてこりんなキャラクターと一緒に、誰もが笑顔になる、誰もが嬉しくなる、そして誰もが「参加することができる」、最高の1冊です。これは盛り上がりますよ!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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驚きのしかけがあります。キャラクターが魅力的!読者参加型絵本。
ぞうさんに、きりんさん、うさぎさんに、たこさんと、次々と謎の穴にはまってゆく動物たち。「う〜む。こうなったら、『そこのあなた』にたのむしかないな」と、自らも穴にはまった、
まくらのせんにんさま。『そこのあなた』って、誰のこと?! そして、その先には、驚きのしかけが……!
昨年9月に急逝した人気絵本作家、かがくいひろしさんの遺作です。
昨年の9月、突然の訃報に立ちすくみました。かがくいひろし先生急逝――。つい1週間ほど前、電話で元気なお声を
拝聴したばかりで、俄かには信じられませんでした。かがくいひろし先生は、デビュー以来、そのユニークな発想や、
かがくい先生にしか描けない作品世界で、たくさんの読者を魅了し続けてきました。打ち合せでお目にかかると、
いつも、穏やかな笑顔で、あふれるアイデアをいきいきと語ってくださいました。「まくらのせんにん」シリーズは、
枕やふとんだけではなく、今後、さまざまなキャラクターを登場させて、お届けする予定でした。その中でも、今作品
『まくらのせんにん そこのあなたの巻』は、かがくい先生ご自身が、シリーズ開始以来、発刊を心待ちに
しておられた作品です。「とにかく、子どもたちに楽しんでもらいたい――」。作品づくりの根底にある、先生のその想いが、
“THE かがくいひろし”ともいうべき、ユニークなしかけが施された、わくわくするような作品になりました。
かがくいひろし先生からの最後の贈り物、ぜひお楽しみください。 (佼成出版社HP「編集者から」より)
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