この本におさめられているのは、14人の女性たちの驚くべき物語です。
女性にこんなことできるはずがない。
女性がやるべきことではない。
この仕事は女性に向かないー―。
そんな世間の「常識」を強い意志と努力でひっくり返してきた人たちなのです。
そんなすごい人は、自分とは関係ないって思いますか? 実は、この本の中に登場する女性たちの中には幼い少女もいるのです。
お父さんが亡くなって、家計をささえなくてはならないという逆境から、自分の天職を見つけた人がいます。化石ハンターのメアリー・アニングは、恐竜の全身化石を初めて発掘することに成功し、チャールズ・ダーウィンの進化論に影響を与えました。
国境を越え、世界を舞台に活躍した人もいます。調査報道記者のネリー・ブライは、なんと身分を隠して刑務所や劇場、動物園や病院に入り込み、恐れることなく記事を書き、不正を暴きつづけました。
これまで女性がなれなかった職業の壁を打ちくだいた人たちもいます。
プーラ・ベルプレは、たくさんの子どもたちに「お話の種をいたるところにまきたいの」と、ニューヨークの公共図書館ではじめてのラテン系アメリカ人の司書となり、子どもの本の作家にもなりました。女性初のアフリカ系アメリカ人宇宙飛行士のメイ・ジェミソン、アメリカ初の女性消防士となったモリー・ウィリアムズの姿からは、なりたいと強く思えば何にだってなれるという勇気をもらいます。
学びたいという気持ちで、世界を変えた少女がいます。
人種分離政策の中、白人だけの小学校にはじめて入学したルビー・ブリッジズは、6歳の黒人の女の子。彼女は差別的な視線や怒りに負けることなく、先生とふたりきりで授業を受け続けました。小さなルビーの勇気は、人種差別に終止符をうつ公民権運動の始まりとなっていきます。
11歳のマララ・ユスフザイは、女性から教育の機会を奪ったタリバン政権を批判して命を狙われました。しかし、その暴力と恐怖に屈することなく「武器ではなくペンを、銃弾ではなく本を」とマララは世界に向けて訴えます。2014年、彼女は世界最年少でノーベル平和賞を受賞しました。
この世界を少しでも良い場所に変えるために。
自分の夢を、住んでいる国や性別のためにあきらめないために。
差別や暴力に屈せず、まっすぐに生きることで、自分の意志を伝え、世界を変えていく彼女たちの姿に、大きな勇気と感動をもらいます。
大人が読んでも驚きと感動に打ち震える、素晴らしい1冊です。
(絵本ナビ編集部)
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