あっちもこっちもゴミだらけ。
汚い川に、もひとつ、ぽーい!
するとすかさず――
「もったいなーい!」
またまた出ました、もったいないばあさん!
「だって みんな すててるよ どうして だめなの?」
「それが わからないなんて、もったいない みに いこう 」
そうしておもむく、山おく深く。
ちいさなちいさな「川のあかちゃん」、集まり、流れて、やがては川に――
あかちゃんを追いかけて、川を下ってゆく、もったいないばあさん。
その道中では、鳥のあかちゃんや、お米のあかちゃんなど、いろんなあかちゃんと出会います。
たくさんの命を育む川の風景に笑顔をこぼすもったいないばあさんですが、そのうち川にはゴミがあふれてきます……。
大人気もったいないばあさんシリーズ!
こんどのもったいないばあさんは、山、川、海へと大冒険にくりだします。
「なんで川にゴミを捨ててはいけないのかがわからない」ことを「もったいない」と思うだなんて、さすがもったいないばあさん!
考えてみると、なぜ川を大切にすべきなのかを知らないということは、川がどんな恵みをもたらしてくれているか知らない、どんなふうに川が自分たちの生活とかかわっているか知らない、ということになるわけで――
なるほど、たしかにそれはもったいないと、なっとく。
目の前にあるのは、ゴミだらけの汚い川。
でも、それが山の清流や、魚が泳ぐ海とつながった、ひとつのおおきなものの一部だと知ったら、どうでしょう?
やがて雨となり、野菜を育て、飲み水としてわたしたちをうるおす水の流れの、いっときの姿だとしたら?
自分とはまるで無関係なものだとは、もう感じられないはず。
水と自然のためにできること、それはまず、知ることから!
なんにも知らないままじゃあ、もったいない――
(堀井拓馬 小説家)
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