もし学校にカッパがいたら・・・?
本の表紙は、うっとり目をつぶってバレリーナみたいにポーズをとるカッパ。
蓮の葉っぱの上に片足で立って踊っているみたい。
このお話は、「ぼく」と、あまり日本語が上手じゃない「アンドレくん」と、みんなの前に立ってしゃべろうとすると涙が出てしまう「みかちゃん」が、学校の池でカッパに出会うお話です。
アンドレくんといっしょに見つけた、池の中の葉っぱに乗ってる生き物を、最初はカエルだと思った「ぼく」。でも・・・
「はっぱの上にすわってるカエルは、かおがまるくて、からだはほそかった。それに、あたまのとこ、なんかついてる。じーっと見てたら、にんげんみたいに、立ちあがった。これって・・・カッパ?」
一気に読める、読みやすいお話。
読み聞かせると、子ども(年長さん)は来年入学する小学校へのあこがれと「カッパにあえるかもしれない」わくわくで本の虜になっていました(自分でも読んでいました)。
とにかく市居みかさんが描くカッパが人間くさくて、しかもひょうひょうとした感じがいかにもカッパらしくて(?)見ごたえ十分。葉の上に立ちあがるカッパも、水槽でくつろぐカッパも、音楽にあわせて踊るカッパも、にやにやしちゃうほどユーモラスな空気を醸し出しています。子どもたち三人がイケノオイと池の中で泳ぐ場面も気持ち良さそう。
小学生低学年向け、絵本から読み物への移行期におすすめの一冊です。
それにしても「イケノオイ」って・・・かわいい名前ですよね。
本を読んだらなぜ「イケノオイ」なのか、わかりますよ!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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ぼくは、あさのかいのとき、クラスのみんなの前でしゃべる「スピーチ」がきらい。うまくしゃべれないし、どきどきしてあさごはんをもどしそうになる。
みかちゃんもだまったまま、なみだをうかべている。
きょうはアンドレくんのばんだ。アンドレくんは、日本語がじょうずじゃない。「カッパ、ミタ」といってカエルをみせて、みんなに笑われた。でも、帰りに学校の池でぼくと、アンドレくん、みかちゃんはカッパをつかまえる。カッパの飼い方なんてわからないから弱らせてしまう。あめ玉で一命をとりとめるカッパ。その瞬間、ぼくたちは池の中にしょうたいされ、心を通わせて、お互いの気持ちを知る。
カッパは学校でいちばん好きな音は笑い声だという。だからこの池にいるんだ、と。その後、三人は学校でよくわらうようにった。
子どもたちが一日の大半を過ごす学校。
なかには、あんまり楽しく思えなくて、学校に行くのがつらいなと思っている子もいるはず。そんな子どもたちの力になれる物語です。
学校っていいな。学校って楽しいな。
読んだあと、子どもたちがそういう気持ちになってくれたら、と思っています。
子どもたちの笑い声に満ちた学校、家庭、そして……子どもたちが笑っていられる世の中ってすてきだなと、当たり前だけど大切なことを、思い出させてくれる物語です。親子で読みあって、話し合うきっかけにも。
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