どうして人間は争いをやめないのだろう。
ワファー・タルノーフスカさん作の絵本『シリアの秘密の図書館』を読んでいるまさにその最中の2025年7月、
イスラエル軍がシリアの首都ダマスカスに空爆を行った生々しい映像が伝わってきた。
今回の空爆とこの絵本の中で描かれている紛争とは別の争いだろうが、
争いには変わりはない。
今回の空爆でも犠牲者が出ているし、この絵本に描かれているように地下シェルターに避難している人もいるだろう。
そもそもこの絵本の作者タルノーフスカさんも、レバノン内戦経験者で、
内戦下のシリアに実在した秘密図書館から着想を得たそうだ。
爆撃によって街のあちこちに打ち捨てられた本を集めて図書館を開く、
絵本で描かれているようなことが実際にシリアのアサド政権下での内戦の時代にあったという。
絵本では図書館を作った父親が図書館に集まってくる人たちを見て、
「なぜ本にはそんな力があるんだろう?」と問いかける場面がある。
問われて娘は「本は人間みたいに争わない」と答えている。
さらに、絵本巻末にある作者の言葉の中で、
図書館員に教えられたこんな言葉が紹介されている。
「本は雨に似ている。雨がふれば、かならず草木が育つ。」
地下壕でつくられた秘密の図書館ではなく、
世界中の人が爆撃もない平和な図書館でみんなが堂々と本を読める
そんな時代が来ることを願ってやまない。