【内容】
お馴染の桃太郎、金太郎、弁慶。昔話の主人公たちが、何故か帽子をかぶって支度をしている。さて、いつまでかぶっているのだろうか。そしてその顛末は?
芸術的な絵と、シュールな話の展開がステキな作品。
【感想】
桃太郎などに対しては、作者は遊び心、皮肉、ユーモアなどなど、容赦なく話を面白くする気持ち満々。その扱いが厳しい。しかし、最後に出てくる女の子に対しては、態度がまるっきり違ってしまう。全然、甘いの。なにそれ?よその男の子には厳しくて、自分の娘には優しい父親の、いやらしさを想像してしまった。
女の子には、甘いのよ。これに出てくる少女が作者の娘をモデルにしたかどうかは知らないけど、なんとなくそんな風に感じられてしまった。
さておき、クラッシックな雰囲気と、美しい絵、独特のユーモアがなんだか高尚な雰囲気を醸し出している作品。日頃からわかりやすい、庶民的な、ギャグマンガ風の作品に親しんでいる私にとっては、ちょっとハードルが高い作風でした。
頭がいい人が作っている感じがして、ついていけるかな?と正直思った。子どもの頃にも一度読んだことがあるけど、絵が怖いと感じて、あまり親しみが持てなかったのを思い出しました。特に、弁慶の最期が、怖い。
あれからずいぶんいろんな出来事があって、身体も大人になったけど、子どもの頃感じた違和感や、怖い感じは、そのまま。中身は成長していない自分を発見した。昔からある絵本は、自分の子ども時代の感情や思い出をリアルに思い出すきっかけになったりして、ちょっと怖い存在かも。
この作者の感性と、ユーモアのセンスは、未だにレベルが高すぎて、よく理解できません。でも、いろんな作品がこの世にあって、面白いと思う。