おなかをすかせたオオカミがブタの町に迷い込み、ひょんなことからバレエ『白ぶたの湖』を鑑賞することに。チラシや看板、新聞の見出しなどに見られる言葉遊びが楽しいです。どちらかというと大人志向の絵本かな。センダックが友人ジェームズ・マーシャルの死を悼んで、遺稿にイラストをつけた作品。演劇好きの二人の趣味が存分に表れています。舞台の好きな人にはたまらないかも。
わたしももっと劇場に足を運びたいな〜と刺激されてしまいました。劇場といえば、クリスマスシーズンはバレエ『くるみ割り人形』の季節。当地のバレエ団の『くるみ割り〜』はセンダックが舞台美術を担当しています。そんなことからも彼の舞台への情熱が、この絵本の趣向と重なって、たっぷりと伝わってきました。(絵本は「絵と言葉の総合芸術」と解していますが、そのスケールを大きくすると舞台芸術になることは、センダックの芸術活動を見ているとよく伝わってきます……。)
最終幕でうっとりしながら自分の演技に酔いしれるオオカミ……。この表情・目つきは必見ですよ。小学生以上のお子さんに。バレエを習っているお子さんには特におすすめ。