「のうじょうで あそんでくる」
そういってお母さんのもとから白い雲の浮かぶ農場にやってきたのは、
野うさぎのふうとはな。
だいこん畑にいると誰かがやってきたので、二人はだいこんのかげでじっと隠れます。
すると、近くで同じ様にじっとうずくまって卵をあたためていたきじのお母さんに出会います。
「たまごから もうすぐ、わたしの こどもたちが、うまれるの」
ふうとはなは、きじのお母さんの真似をして、羽にもぐって目を閉じました。
しばらくすると、おなかの下から「ぴよ ぴよ ぴよ」と、声がきこえてきて・・・。
いわむらかずおさんの「ふうとはなの絵本」シリーズ第3作。
生まれてきたきじのあかちゃんたち、そのあかちゃんたちを世話をしようとするふうとはなの可愛さ!
今作もみどころはたくさんあるけれど、
なんといっても印象的なのはきじのお母さんの厳しさと優しさの合わさった表情。
いわむらさんはこのお話を描く数年前、「えほんの丘農場」のだいこん畑で、
実際に卵を抱いているきじのお母さんに出会ったそう。
その時、逃げようともせず、葉かげからじっと見つめ返してきたのが、
子を守ろうとする強い母のまなざしだったのです。
こんな風に、畑の片隅にもたくさんの命のいとなみがあるということ。
絵本を読んだ子どもたちも、きっとたくさんのことを感じとっているにちがいありません。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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