ありがとうって
どんなときに
いうのかな・・・
森のはずれの洞穴に、仲良しのこりすとくまくんが暮らしていました。2匹はそれぞれおそうじやお料理をしたり、花や野菜を育てたりしながら、毎日お互いに感謝して過ごしています。お出かけしてもいつも一番に考えるのは、相手のこと。お互いのことを思うと、とてもあたたかく、優しい気持ちになるのです。
ある時ふと、食事をしているときに、くまくんがこういうのです。
「ねぇ、いつも ありがとう」
「ありがとうって、きっと、うれしいときに いうんだね」
それを聞いたこりすもくまくんに「ありがとう」の言葉を伝えます。2匹はお互いにどんな時にうれしくなったかを語り、ますますお互いが愛しくなり幸せな気持ちになりました。
子どもたちが自然と理解できるように「ありがとう」の意味を丁寧にくみ取り、教えてくれる素敵な絵本です。相手に感謝する気持ちに気づくこと、「ありがとう」を言葉にして、自分の気持ちをちゃんと相手に伝えること。それは大人になってからも、とてもとても大切なこと。子どもたちにしっかりと伝えていきたいメッセージ。宮野聡子さんの柔らかい筆致が、まるで日向ぼっこしているような心地よい温もりを与えてくれます。読んでいる大人も聞いている子どもたちもふわっと包まれ、幸せな気持ちになることでしょう。
子どもはもちろんですが、大人たちこそ「ありがとう」を忘れている気がします。
「きみのぜんぶにうれしくて、きみのぜーんぶに、ありがとう!」
子どもたちの前でも、そんな風に恥ずかしがらずに素直な気持ちを相手に伝えられる大人になりたいものです。『いちばんしあわせなおくりもの』の続巻でもあるこの絵本は、未就学児から小学校低学年の子どもたちに。そして大人にも、大切な人へのギフトとして喜ばれる絵本です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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