レストランで働くもぐらのモリスさん。
赤いチョッキと蝶ネクタイ姿で、赤い縁のメガネをずりあげて目をこすっています。
モリスさんは実はすっかり疲れていました。
一日いそがしかったために、足が痛い、目もかすむ……。
おくさんと子どもが待つうちに帰りたくてたまりません。
でも困ったことに、メガネが見つからなくなってしまったのです。
モリスさんは「かえりみちなら だいたいわかってるし だいじょうぶ かえれる!」と地中をもりもり掘りすすみます。ところが……。
「ただいま! かえったよ!」
地面から飛びだしたところは、うさぎのうち。
再び穴を掘って……「ただいま!」と顔をだしますが、また間違い。
目がよく見えないのでフクロウの木に「ただいま」のキスをしてしまいます。
掘っても掘っても、とんちんかんな場所に出てきてしまうモリスさん。
読んでいる子どもたちは大笑いです。
イラストレーター、アニメーターなど多方面の才能をもつジャーヴィスの絵はおしゃれでユーモラス。
ちょっととぼけたモリスさんが、愛する家族の元へ帰ろうと一所懸命な姿にほのぼのします。
なくしたと思ったメガネは、ちゃんとモリスさんが持っていたというオチも、子どもたちには一目瞭然で微笑ましい絵本です。
ぴょーんと地面から顔をだし「みんな! ただいま!」と言うモリスさんのキラキラしたまなざしは、可愛さ満点。
もしかしたらうちのパパもこんなふうに目を輝かせて、家の扉をあけているのかも…!?
なんて、想像すると楽しくなっちゃう。
わが家への愛情がたっぷり伝わってくる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む