ヒキガエルのウォートンが、恐ろしいミミズクにつかまった! 誕生日のごちそうに食べられちゃうの!?
小学校の国語の教科書にも長い間取り上げられているこちらのお話。大人の方には懐かしく感じられる方も多いのではないでしょうか。1982年に日本で初めて刊行された後、2008年に訳を新たに装丁も大きく変わり、さらに手にとりやすく、読みやすくなりました。
土の中で暮らしているヒキガエルのきょうだい、ウォートンとモートン。ある冬の日、ウォートンはモートンが作った美味しい砂糖菓子をおばさんに届けるため、寒い雪道をスキーで出かけます。しかし途中で足をケガして、たちの悪いミミズクにつかまってしまうのでした。ミミズクは6日後の自分の誕生日の特別なごちそうとして、ウォートンを食べるといいます。けれどもウォートンとミミズクは毎晩、お茶を飲んでたくさんおしゃべりをするように。もしかしたらミミズクの気が変わるかも? と淡い期待を持つウォートン。読者である私たちもウォートンがどうか食べられませんように、と祈らずにはいられません。そうするうちにもミミズクは、カレンダーの日付をいちにちいちにち「×」で消していき、誕生日はどんどん近づいて‥‥‥。
はたしてウォートンは食べられてしまうのでしょうか?
どんな絶望的状況にあろうとも決してあきらめない勇敢なウォートンの姿と、お話のあちこちで感じられる登場人物それぞれの優しさに、子どもたちは何を感じとるでしょうか。来たるミミズクの誕生日には予想外の展開が次々とおとずれ、心があちこちに大きく揺さぶられます。さまざまな感情をウォートンとともに体感し、ウォートン以外の登場人物の気持ちをも汲みとることで、言葉にできない豊かなものが子どもたちの中に育まれていくようなそんなステキな作品です。
ヒキガエルのウォートンとモートンのお話がもっと読みたくなったら、ぜひ続けて「ヒキガエルとんだ大冒険」シリーズをどうぞ。こちらはなんと続編が6冊も出ています。1人で読むなら3年生ぐらいから、読んで聞かせてあげるなら5歳ぐらいからおすすめの名作です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
続きを読む