雪がしんしんと降る、ある日のできごとです。こうさぎは雪の中で2本のにんじんを見つけました。1本食べるともうおなかがいっぱい。そこで残りの1本を持ってこうまを訪ねたけれど、あいにくの留守。おなかいっぱいで帰ったこうまは、こうさぎの置いていったにんじんを見つけ、ひつじに届けたけれど、あいにくの留守。おなかいっぱいで帰ったひつじは、こうまの置いていったにんじんを見つけ、こじかに届けたけれど……。
最後ににんじんはどうなるのか、ぐるぐる話で知られる中国民話の再話。繰り返しのパターンと落ち着いた色調が、冬の日のまどろみのような心地よさを提供します。動物たちの優しげな表情にも心休まりますね。“LES BONS AMIS”(よい友達)の原題どおり、読後は思わず、「お友だちっていいね」とつぶやいてしまうかも……。 この作品は、フランスで1931年創刊された「ペール・カストール」シリーズの一冊。同シリーズは、子どもの自発性や感受性を育む手段として、創造的な本を制作しようと始まりました。内容は散文や詩だけでなく、ぬり絵や切り抜きもあり豊富です。感性豊かな子どもたちを対象にするには絵の働きが重要だと考えられ、この理想実現のために多くの才能ある画家たちが創作に取り組みました。本国フランスだけでなく世界各国の絵本制作に影響を与えた作品群は、現在でも多くの読者に読み継がれています。 ――(ブラウンあすか)
雪の降る寒い日には、食べ物探しも一苦労。2本のニンジンを見つけた子ウサギは、ともだちの子馬を思い、家まで1本のニンジンを届けます。子馬もまた、友達の羊を思いやって……。子ウサギから子馬へ、子馬から羊へ、羊から子鹿へ。ともだちの輪をぐるぐる回るニンジンのお話。
表紙の絵をはじめて見たとき、『しんせつなともだち』とそっくりでビックリしました。おくりものが、かぶとにんじんという違いもありますが、内容もまたそっくり。
なぜなんだろう?と思っていたのですが、どちらも中国民話がもとになっていて、その原典の絵を忠実に再現したのでうさぎの装いまで似てしまったのでは?という説もあるらしいです。
どちらも読んで比べてみるのも楽しいかもしれません。 (クッチーナママさん 30代・ママ 女の子9歳、女の子6歳、男の子4歳)
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