このお話は、子どもの宿題プリントに題材として取り上げられて
いたので知りました。小3の教科書に掲載されているようです。
賢くて、いつもみんなに頼りにされていて、物知りなアナグマ。
けれど歳をとっていたので、自分の死が近いことも知っていたんですね。
やがて、アナグマは家でひっそりと死を迎えます。
アナグマの死を知り、悲しみに暮れるアナグマの友達。
その友達が、悲しみながらも次第にアナグマの死を受け入れて
いく姿には、激しく共感や感動をおぼえました。
誰しもいつかは大切な人との別れを経験するもの。
この絵本では、死んで行く者と残された者の両方の思いが
ぎっしりつまっています。
けれど、なぜでしょう?アナグマが死んでしまって悲しいお話の
はずなのに、なぜだか読んでいるうちに心が穏やかになってくる
自分がいました。
みんなが語るアナグマの思い出が、残されたみんなの気持ちと
一緒に、読者の気持ちも癒してくれるんですよね。
アナグマが残してくれた「わすれられないおくりもの」を、私も
感じることが出来たように思います。
この絵本では、死の描写を、「長いトンネルの向こうに行く」と
書いています。「生と死」は繋がっているんだよということを
上手く表現しているなと思います。
この絵本、息子も自分から手に取り何度も読んでいました。
普段、笑えるストーリーを好んでいる息子ですが、感想を聞いてみると、
「何度読んでも、じーんとくるねえ。」とのこと。
まだ身近な人の死を経験していない息子にとっては、まだピンと来ない
部分が多いようですが、たくさんの思い出が心を癒してくれることを
知って欲しいな、と思います。
死に正面から向き合った素敵な絵本です。是非、我が家の蔵書にしたいです。