手にとると、思わず手でなでたくなる絵本。
カバー表面に加工がしてあり、斜めにふる雨がうっすら盛り上がって手に触れます。
あざやかな赤色の建物と緑の木々、グレイの空をバックに、黄色いながぐつをはき「F」のシャツをきた男の子が目を引きます。
「F」の男の子は、ふくちゃん。
ふくちゃんが雨上がりに外へでて、おうちのまえのみずたまりにバシャバシャはいると、みずたまりがこんなことを言うのです。
「おいおい、しずかにしておくれ。
ここから いろんな ものを みているんだから。」
ふくちゃんは目をまるくしてびっくり。
「なにが みえるの?」
みずたまりは、まるで鏡。
うつりこむ空の風景や、のぞきこむ子どもたちのことを、みずたまりは答えます。
毎日ふくちゃんはみずたまりにたずねます。
「きょうは なにが みえた?」
大きかったみずたまりは、どんどん小さくなっていきます。
最後にみずたまりがみたものは?
『とけいのあおくん』『ちゃいろいつつみ紙のはなし』などの絵本作品がある殿内真帆さんの絵本。
赤、黄、青、緑など、ニュアンスのある色彩がおしゃれで目を引く作家さんです。
小さくなってしまったみずたまりをのぞきこむふくちゃん。
最後のページで逆さに吊るされた、てるてる坊主が可愛いです。
みずたまりと遊ぶのが大好きな子どもたちに読んであげてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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