見開きごとに、イソップのおはなしがひとつずつ入っている大判絵本。
よく知られているのは、「ライオンとネズミ」「ウサギとカメ」「アリとキリギリス」などでしょうか。
でも……あれれ?
知っているはずのおはなしとちょっとちがう……?
それもそのはず、この本はエリック・カール流にかかれたイソップ。
たとえば「ライオンとネズミ」では、ライオンに食べられそうになったネズミが命乞いをして「こんどもし、あなたがなにかでこまったら、そのときはぼくがあなたをたすけるよ」と言います。
ライオンは笑って本気にせず、昼寝をはじめますが、それを聞いていたオオカミが眠っているライオンを太いひもで木にしばりつけてしまいます。
小さなネズミは、鋭い歯で縄を噛み切ってオオカミを助ける……というおはなしです。
話の流れはほぼ同じなのですが、最後にエリック・カールが教訓として書いているのは、「ともだちになるのに、姿かたちは関係ない」ということ。
なるほど、大きかろうが小さかろうが、ともだちとして互いを助け合うことはできるんですね。
多くのイソップ寓話では「情けは人のためならず(自分のため)」だとか、たとえば「ウサギとカメ」ならば「競争は必ずしも足の速いものが勝つわけではない」とか戒めふうの教訓が込められているわけですが、エリック・カールさんにかかると、ほんの少し変わって、できごとのよい面をとらえたりやさしく言い聞かせるような教訓に変わってます。
では、あの「アリとキリギリス」の結末はどうなったのか? エリック・カールさんが添えた一言は?
ぜひ本書を読んでみてください!
イソップを、人生をたのしむ応援メッセージのように感じることができる1冊。
一枚一枚、色あざやかな絵の中に描かれる動物たちは、優雅でおしゃれな衣装を身にまとっています。
これもきっとエリック・カール流のお楽しみですね。
おうちや学校で、それぞれ気に入ったおはなしを見つけてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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