町の商店街をなわばりにする、どろぼうねこ。行きつけの店は魚屋さんで、魚屋のおじさんとは昔からの顔なじみです。「さんまをぬすんでいっていいかい」と聞くと、おじさんは「これはこれは どろぼうねこの おやぶんさん。いっぴきだけなら ぬすんでいっていいよ」とにこやかにいいます。平和な商店街なのです。
そんなある日、電気屋さんの前のテレビからへんな天気予報が聞こえてきました。「晴れのち さんま ところにより さば」ですって。魚屋のおじさんが、困った様子でどろぼうねこに声をかけます。「さんまが ただで そらからふっちゃ さかなやは しょうばいあがったりだ」「おやぶんさんの おちからで なんとかできないものかねえ」
世話になっているおじさんにそう言われたからといって、ねこが何かできるものでしょうか。いや、それよりも天気予報が「さんま ところにより さば」なんてことがあるでしょうか。そう思いながら絵本のページをめくると、西の空から黒くてうろこのかたちをした雲が、すごい速さで近づいてきて、あたりはどんどん暗くなり……!?
見どころは、かのうかりんさんが描く、毛並みまでずっしりとした、ふてぶてしいほどの親分の体つきと鋭い目つき。「にゃおーーーーん」と声高らかに親分から召集をかけられた仲間のねこたちも、いずれ劣らぬ“猛者ぞろい”のような鋭い目つきをしています。
平和な商店街で突如起こる奇想天外な出来事、立ち向かう親分とその仲間たちの姿に爽快感さえ感じちゃいます。クライマックスは、格闘の末、満足げに横たわるねこたち……。ちょっと変てこで、ねこ好きにはたまらない、わくわくする絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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