歿後なお新たな読者を獲得し、読み継がれつづける安房直子。本短篇集は、小社の雑誌「母の友」「子どもの館」に発表された作品のみをあつめ、刺繍による美しい絵を挿んで編んだものです。
白いおうむのみちびきによって、死後の世界で姉さんと会う女の子。くじゃくの化身たちにそそのかされ、世にも奇妙な布を織ることになったはた織り。けんけんをするうちに、うさぎに吹雪のなかへとさそいこまれてしまった女の子。白ねずみに針さしを貸してやったおばあさんや、猫といっしょに魚とりをするはめになったおばあさんの夢のあと。まっ黒なネコが裏地屋さんにたのんだ布の色とは……。どのお話も、一風変った動物たちが、ひとりの時間を過している子どもや大人たちを、ふしぎな世界へといざなっていきます。
さみしくて、あたたかく、かなしくて、でもうれしい、すきとおるような味わいの童話集。これまで単行本未収録だったエッセイ「絵本と子どもと私」も収載。
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