この作者の優れたデッサン力に、目を奪われ心を引き付けられるのも魅力の一つだと思います。この絵本にはもう一つ特徴があります。
字が一つもない事です。
それが、このストーリーを引き立たせているのでしょう。
思い浮かべて下さい。
真直ぐな道を1台の車がやってきます。
その車から一匹の犬が捨てられます。
犬は追い掛けます。必死になって…
字がないのに、情景が、犬の気持ちが、捨てられる痛みがひしひしと伝わって来ます。
情緒を育てるのにも、何かを「感じ取る」という面でも
無駄な言葉を入れるよりよっぽど伝わる絵本だと思いました。