2002年刊行。岐阜県の徳山村はダム建設のため、村人は別の地域に移っていた。それでも建設までの時間を住み慣れた場所で暮らすために戻ってきた人たちがあった。ガスも電気もない地域で、昔ながらの暮らしを楽しむジジババを取材した写真絵本。
一見不便そうな生活に見えるのに、ジジババたちは元気に楽しく暮らしている様子が印象的だった。昔から生きるためにあたりまえにやってきたことをそのまま続けているだけなので、至って元気でストレスもなく、楽しそうなのだ。
掘っ立て小屋で暮らし、手作りのお風呂で一日の疲れをとり、日が沈んだら寝る生活。お客さんが来たら、あるものでもてなし、お互いの家を行き来しておしゃべりするのが最大の娯楽。
私のジジババの若いころもそうだったとか。(大正生まれ)
ダムに沈んだ村、というと悲惨なイメージがあった。
本書には詳しく書かれていなかったが、いろいろなことがあったと思う。愛着のある故郷を失い、見知らぬ場所で慣れない生活をする村人たちの気持ちを思うと、やりきれない。
しかし、現状を受け入れ、精一杯、時間いっぱい、楽しく暮らそうとする姿が美しかった。
日々生きることはどういうことかを考えさせられる。
幸せであることは、どういうことかを考えさせられる。
生活が便利になることは、どういうことか。しっかり現実を見なければならない。