おやおや、台所にいるのはパンツ一枚でうろうろしているだいくんです。
「こらっ。パンツいっちょうで あるかないの」
ほら、おかあさんにおこられた。でも、だいくんは聞きます。
「パンツいっちょうって なあに?」
確かに、パンツいっちょうって語呂がいい。嬉しくなっただいくんは、思わず外に飛び出します…パンツいっちょうで!!
ふと気がつくと、どうやら迷子。そこに通りがかったのは、だいくんと同じパンツいっちょうの…こだぬき!?こだぬきは言うのです。
「パンツいっちょうめへ ようこそ」
そこは、誰もがみんなパンツいっちょう、だいくんにとってはパラダイス!うさぎもコアラもやぎも、からすだってみーんなパンツいっちょう。そんな町があるなんて、聞いたこともないですよ。一体、だいくんはどこに迷い込んでしまったのでしょう!?
いつも、とんでもない設定と展開で読者を楽しませてくれる苅田澄子さんのお話に、今回タッグを組んでいるのはご存知『ほげちゃん』のやぎたみこさん。そんな二人が描く「パンツいっちょうめ」、これは期待が高まりますよね。圧巻なのは、スーパーの売り場。なにしろ、お客さんの動物たちがみんなパンツいっちょう姿。人間と比べてグッとおしゃれに見えるのがポイント。おしりの形だってそれぞれチャーミングです。それどころか、売っている野菜や魚、パンにおもちゃ、みんながパンツをはいている。こんなに一度に沢山のパンツを見たのは初めてです。
さてさて、だいくん。いつまで「パンツいっちょうめ」で遊んでいるつもりなのかしら?そこにやってきたのは…。
子どもたちは、どうしてこんなに「パンツいっちょう」が好きなのでしょう。試しに大きな声で「パンパン パンツ パンツいっちょうー!」と叫んでみると、その解放感が少し理解できるような、できないような。子どもにしか味わえない特権の世界なのかもしれませんね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む