みかん おいしくなーれ
- 作・絵:
- 矢野 アケミ
- 出版社:
- 大日本図書
絵本紹介
2023.01.25
「笑うことはとってもいいこと」というのは、世界共通認識のひとつ。日本に「笑う門には福来たる」ということわざがあるように、英語でも「Laugh and the world laughs with you, weep and you weep alone.(笑うときはみんな一緒、でも泣くときはひとり)」という格言があります。人は、幸せな人のところに集まりたくなってしまう習性があるのかもしれません。
そうは言っても、なにかきっかけがなくては笑えませんよね。そこで! 新年初笑いにもってこいの絵本9冊を集めました。
ひとくちに「笑い」といっても、爆笑必至やひねりのあるネタ、じわじわ笑いにナンセンスなど方向性はイロイロ。笑いのツボも人それぞれですから、ぜひいろんな笑いを絵本で味わってみてください。
それではみなさん、お顔と心の準備をして……ハイ、お笑い!
みどころ
オレンジ色のころっとしたみかん。
見つめていたら……。
「おいしくなるおまじない」を唱えたくなっちゃう!?
さて、どんなおまじないかというと……。
「みかぽん みかぽん
おいしく な〜れ〜
みかぽん みかぽん
むきむき……」
「ぱっ!」
みかんの房があらわれると思うでしょう、そうでしょう?
ところが、むいた皮を「ぱっ」と広げた中身は、なんといちご大福!
なんで〜?
不思議だけど、とにかくおいしそうだから食べちゃえ、と食べます。
「もちゅ もちゅ もちゅ」ってね。
さあ、次こそ!
でも「ぱっ!」と皮を広げた中身はやっぱりちがうんですーー。
こんどはメロンパン。
あれあれ、このおまじない、まちがってる?
「おいしい」ってことはまちがってないのかな?
手のひらにのせると、その重みやしっとりつやっとした感触を楽しみたくなる、みかん。
皮をむいたら中身は、ぜんぜんみかんじゃないものが出てきちゃう!?
……なんて、子どもは大好きな世界ですね。
この変てこさ、子どもたちのくすくす笑いが聞こえてきそう。
「みかぽん、みかぽん……」とユーモラスに唱えて、みかんの皮をむくのもわくわくドキドキ。
ぼくの、わたしのみかんの中身は、おいしいみかんになったかな?
魔法をかける、おまじないの言葉は、きっといくつあっても素敵です。
さあ、あなたも一緒に、
「みかぽん みかぽん
おいしく な〜れ〜……」
絵本と想像遊びの世界を楽しんでくださいね!
この書籍を作った人
1973年、愛知県生まれ。幼稚園の頃の夢は、絵本をつくって売る人。子どもの本専門店「メリーゴーランド」(三重県四日市市)主宰の絵本塾に参加。『どうぶつドドド』(鈴木出版)で第22回日本絵本賞読者賞を受賞。その他作品に『ジェリーのあーな あーな』『ジェリーのながーい ながーい』『ジェリーのこーろ ころん』『バナナおいしくなーれ』『みかんおいしくなーれ』(大日本図書)、『ぐるぐるカレー』『ぐるぐるせんたく』『ぐるぐるジュース』『ぺったんこぺったんこ』(アリス館)、『わっかが8ぽんスポン!』(PHP研究所)、『ギョギョギョつり』(鈴木出版)、『ばんそうこう くださいな』(WAVE出版)などがある。
この書籍を作った人
多田 ヒロシ(ただ ひろし)1937年東京に生まれる。武蔵野美術大学デザイン科卒業。漫画家らしいユーモアのある絵本が多く、ロングセラーの「ぶうとぴょん」の絵本『おんなじ おんなじ』や『ねずみさんのながいパン』でとくに小さな子どもたちの人気を得ている。ことば遊びも大好き。
みどころ
キャベツくんが道を歩いていると、向こうからやってきたのはブタヤマさん。ブタヤマさんはお腹が空いてフラフラです。キャベツくんが「こんにちは」と挨拶をしても、返ってくる返事は、「フー」。ところがブタヤマさんは、あまりにもお腹が空き過ぎて、次の瞬間にはキャベツくんをつかまえて、こんな事を言うのです。
「キャベツ、おまえをたべる!」
だけど、キャベツくんは慌てません。
「ぼくをたべると、キャベツになるよ!」
すると空には、鼻がキャベツになっているブタヤマさんが浮かんでいます。
「ブキャ!」
これには驚きの声をあげるブタヤマさんでしたが……。
長新太さんの不思議な世界が存分に楽しめるこの絵本。だけど難しいことは何もありません。ひたすらキャベツを食べたいブタヤマさんと、驚かせ続けながらも少しだけ同情してしまう人が好いキャベツくんの、愉快なやり取りの繰り返しなのです。ブタヤマさんが「ブキャ!」と言うたびに、笑ってしまえばいいのです。(だって面白いんだもん)
地平線まで見えるような地面に、黄色く広がる大きな空。遠くには山々が連なって。そこから一本の道がずーーっと伸びていて……。なんでしょうね、この解放感。ここにいるだけで、心が晴れてくるようです。そんな道の向こうからやってくるのは、小さな可愛い「キャベツくん」。ああ、ブタヤマさんじゃなくたって、私だってきっと話かけてしまうはず。「こうなる!」と言って、体の一部がキャベツになっている変な動物を次々に見せてもらいたい。
そんな風に彼に夢中になってしまった皆さまがた。ご安心ください、キャベツくんはシリーズ全5冊。この摩訶不思議な世界がどんどん続いていきますよ!覚悟してくださいね。
この書籍を作った人
1927年東京生まれ。蒲田工業高校卒業。「おしゃべりなたまごやき」(福音館書店刊)で文芸春秋漫画賞、国際アンデルセン賞国内賞、「はるですよふくろうおばさん」(講談社刊)で講談社出版文化賞受賞。「たぬきのじどうしゃ」(偕成社刊)「みみずのオッサン」(童心社刊)などの作品がある。
みどころ
おすしが買い物にやってきた。ずらりと並んだ華やかなネタ……いえ、服を見ながら迷います。
「サーモンにします?」
「おもいきって、トロにしようかな?」
続いてアイスは帽子を買いに、箱の親子はリボンの着付け、サウナにやってきたのはシュウマイ、ソーセージは車を買いにきます。いちごが自分のベッドに選んだのは……?
ミニチュア写真家・見立て作家として大人気田中達也さんが手がける写真絵本第2弾。「おすしがふくを」という言葉だけで、すでに期待に胸が膨らみます。いったいどんな「みたての世界」が繰り広げられているのでしょう。
お皿のビルにいくらのネックレス、板チョコのカウンター、美味しそうなパンの車にレタスの海、マカロンのソファーに美味しそうなベッド。使われているのは見たことのあるものばかりだけれど、登場するのは最高にワクワクする見たことのない店ばかりの仮想の街。
じっくりゆっくり繰り返し、画面の隅々まで眺めて楽しんでくださいね。買い物を済ませた彼らは、その後どんな一日を過ごすのか。次の日になったらお店にはどんな商品が並ぶのか。あるいは次に登場するとしたらどんなお店がいい? きっと、想像の世界も止まらなくなってしまうはず!
この書籍を作った人
ミニチュア写真家・見立て作家。日常にあるものを別の物に見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」を、2011年からInstagramで毎日発表し続ける。展覧会を国内外で開催。主な著書に『MINIATURE LIFE』、『MINIARURET TRIP IN JAPAN』、『MINIATURE at HOME』、絵本『くみたて』(福音館書店)、『おすしが ふくを かいにきた』(白泉社)など。Instagramのフォロワーは360万人を超える。
出版社からの内容紹介
きみなら、どんなパンダのがらにする? 想像を広げるって面白い!
大人気妄想絵本『ショートケーキになにのせる?』に続く第2弾!
もしも動物園にいるパンダが全然ちがう「しろくろがら」だったら……?
ぼくと妹は動物園が大好き。なかでも、いちばんは「しろくろがら」がかわいいパンダ!……でも、まてよ? これが、ちがう動物がらだったら、もっとかわいくなるのかな?
たとえば……シマウマがらのパンダ! う〜ん、想像してみたけど、シマウマというより、ふとった白いトラだなぁ。 じゃあ、ウシがらのパンダ! う〜ん、ウシとちがって牛乳でないし……。次は、スカンクがらのパンダ! ブゥゥゥゥ〜おなら、くっさぁ〜〜!
なんだか、おもしろい! よーし! もう動物がらじゃなくてもいいから、色々なしろくろがらにしてみよう! みずたまがらのパンダ! うずまきがらのパンダ! めいろがらのパンダ……?
この書籍を作った人
1974年生まれ。東京都出身。東京藝術大学卒業。CMプランナー。テレビCMや新聞広告などを手がける傍ら、イラストレーターとしても活動。『あつまれ!全日本ごとうちグルメさん』がはじめての絵本作品。
みどころ
童話には、言葉を話す動物なんてのがいろいろおりますが、落語にでてくるそれといえば、犬、猫、キツネにそれから、たぬき!
たぬきというと、ふしぎな力で人を化かすと決まっておりますが、『ごんべえだぬき』の子だぬきは、ただのイタズラ好き。
やってることは、いわゆるピンポンダッシュと変わりません。
山里はずれに住む、ごんべえさんという人情家。
子だぬきときたら、眠りにつこうとするごんべえさんの家の戸を叩き、「ごんべえ、ごんべえ」とやかましくさわぎます。
たぬきのあつかいを心得ていたごんべえさん、うまくして子だぬきをとっ捕まえてやりました。
夕飯はタヌキ汁だの、毛皮はおれがもらうだの、と村人が喜ぶものですから、子だぬきは真っ青!
ところが、そこはごんべえさん、情けをかけて逃がしてやろうと村人をいさめます。
しかし、二度と悪さをしないように、軽くおしおきをしよう。
ごんべえさんがそういって取り出したのは――
全15巻で完結した「川端誠落語絵本シリーズ」より、画風もあらたに復活した新シリーズの2作目です。
落語「ごんべえだぬき」といえば、童話のような雰囲気のある、ファンタジックであたたかな演目。
絵本とはとくべつ親和性が高いのではないか、と思って、ページをめくってみれば大正解!
落語として楽しんでいたときには、どこか間が抜けていて、生意気な小僧っ子としてイメージされていた子だぬきが、絵本になって愛らしさ300パーセント増しに“化け”ています。
また、あとがきにはこうあります。
「落語はオチで切って落としますが、絵本には裏表紙があります。オチのオチ」
そうして、これしかないだろう、という絵を裏表紙に描いたという作者の川端誠さん。
なるほど、なっとくの二段オチ!
ごんべえさんたら、人情あふれすぎでしょう!!
落語にはじめて触れる人にはもちろん、「ごんべえだぬき」は何度も聞いたよという人にもオススメできる、絵本ならではの楽しみが詰まった一冊になっています。
この書籍を作った人
1952年新潟県生まれ。出版社ごとにテーマや表現方法を変えて、多様な世界を展開している。『鳥の島』で絵本にっぽん賞受賞。ライフワークの『落語絵本シリーズ』(クレヨンハウス刊)、『風来坊シリーズ』『お化けシリーズ』(BL出版刊)など、著作多数。絵本研究家としても知られ、絵本作家ならではの的を射た絵本解説も好評。
この書籍を作った人
1977年 長崎県生まれ。東京藝術大学美術学部油画専攻卒業。同大学院修了。卒業後、雑貨デザイナーを経てその後フリーランスへ。第36回日産童話と絵本のグランプリで大賞受賞。第2回ビルボ絵本大賞で優秀賞受賞。第11回日本童画大賞 絵本部門で大賞受賞。作品に『くつやさんとおばけ』『カッパーノ』(いずれもBL出版)がある。
この書籍を作った人
1960年大分県生まれ。絵本・童話作家。編集者、ライターなどを経て子ども向け作品を書き始める。『どうぶつゆうびん』(あべ弘士・絵 講談社)で2005年に産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、『ふってきました』(石井聖岳・絵 講談社)で2007年に日本絵本賞、2008年に講談社出版文化賞絵本賞を受賞。そのほか絵本に「すっぽんぽんのすけ」シリーズ(荒井良二・絵 鈴木出版)、『おむかえまだかな』(おかだちあき・絵 学研)、童話に「おばけのバケロン」シリーズ(つじむらあゆこ・絵 ポプラ社)、『うめちゃんとたらこちゃん』(田中六大・絵 講談社)などがある。絵本とおやつについて綴ったエッセイ『レモンパイはメレンゲの彼方へ』(ホーム社)も好評。東京都在住。
この書籍を作った人
1950年岡山生まれのかに座。『がたたんたん』(ひさかたチャイルド)で絵本にっぽん賞受賞。絵本に、『おならばんざい』(ポプラ社)、『ぼくだけのおにいちゃん』(文研出版)、『いただきまーす!』(フレーベル館)、『花さかじい』(くもん出版)、『いっぴきおおかみのそろり』(教育画劇)などがあり、挿絵には、『ジュン先生がやってきた!』(新日本出版社)、『吹きぬけの青い空』(学研教育出版)、『ひみつの空のにわ』(大日本図書)、『リタイア犬ポリーの明日』(佼成出版社)などがある。