十二支のおはなし
- 作:
- 内田 麟太郎
- 絵:
- 山本 孝
- 出版社:
- 岩崎書店
絵本紹介
2021.12.26
「干支」は、中国から日本に伝えられた「年」を数える言葉でした。同じように干支がある国は、発祥の地・中国、台湾、韓国、チベット、タイ、ベトナム、モンゴルなど東アジア地域のほか、ロシアやベラルーシにもあるそうです。
十二支は地域によって違う動物が入っていますが、2022年の干支である「トラ」は、先に挙げた地域すべてに入っている動物です。それもそのはず、トラの主な生息地は、東・東南アジア地域。中国東北部とロシアのアムール川周辺にはアムールトラ(シベリアトラ)、中央アジアやカスピ海周辺にはカスピトラなど亜種も棲息しているので、ロシアやベラルーシの干支に「トラ」が入っていても不思議ではありません。
かつては地球に10万頭も棲息し、故事や民話など、古今東西のさまざまな物語に登場しているトラ。今日まで語り継がれているおはなしから、新しい創作物語まで、いろんな絵本で「トラ」の魅力を味わってみてくださいね。
この書籍を作った人
1941年福岡県大牟田市生まれ。個性的な文体で独自の世界を展開。『さかさまライオン』(童心社)で絵本にっぽん大賞、『うそつきのつき』(文渓堂)で小学館児童出版文化賞、『がたごと がたごと』(童心社)で日本絵本賞を受賞。絵本の他にも、読み物、詩集など作品多数。 他の主な作品に「おれたち、ともだち!」シリーズ(偕成社)、『かあさんのこころ』(佼成出版社)、『とってもいいこと』(クレヨンハウス)、『ぽんぽん』(鈴木出版)などがある。
この書籍を作った人
1972年、愛媛県松山市に生まれる。大阪デザイナー専門学校編集デザインコース絵本科卒。「あとさき塾」「メリーゴーランド絵本塾」で絵本を学ぶ。作品に『アブナイかえりみち』『アブナイおふろやさん』『祗園精舎』(ほるぷ出版)『ちゃんがら町』『十二支のおはなし』『がっこういこうぜ!』『おばけのきもだめし』(岩崎書店)『雪窓』『本所ななふしぎ』『学校ななふしぎ』(偕成社)『むしプロ』 『カイジュウゴッコ』(教育画劇)『ぬ〜くぬく』(農文協)『にんじゃつばめ丸』(ブロンズ新社) 『えかきのチャーリーひみつのかべ』(イースト・プレス)『いっすんぼうし』(あかね書房)『はのはのはなし』(アリス館)などがある。
みどころ
夜の雪もやみ、元旦の朝をむかえます。
ねずみたちが、年のいちばんはじめに汲む水「若水(わかみず)」を汲み、この水でお雑煮をつくります。
ねずみ、うし、とら、うさぎ、たつ、へび……みんなきちんと着物を着込み、膝の上に手を置いて。
十二支そろって……あけましておめでとうございます。
さあ、新年です。
きらびやかな何段ものお重に詰められたお節料理。
鏡餅にやってくる年神さまにご挨拶をし、初詣へ。
十二支の動物たちは、羽根つき、凧揚げ、すごろく。百人一首に、書き初めと思い思いに楽しみます。
そして、神さまに供えるのと同じお餅を、鍋で煮込んだお雑煮をいただきます。
作者・川端誠さんによると、お雑煮は、神さまにお供えする同じお餅を食べることで、一年の力を授かろうとしたものだとか。
お雑煮をつくる火を大切にするため、他の煮炊きをしないように年末に重詰めにしたのがお節料理。
年末につくるのがお節で、年始につくるのがお雑煮。
だから正月の祝いの膳の主役はお雑煮なのだそうです!
絵本からは、ぴんとはりつめた年始の空気、清冽な水、お正月のとくべつな気配が伝わってきます。
川端誠さんと言えば多くの絵本の本文を、彫刻刀で彫っています。
本書も彫った文字がとても素朴で味わい深いです。
最後は白い雪の中、しめ飾りを外し、朱塗りのお膳をきれいにしまい、赤く燃え上がるどんど焼きで締めくくられます。
白と赤色のコントラストといい、十二支の動物たちの生き生きとしてユーモラスなにぎわいといい、作者が愛する日本のお正月文化を、ページのすみずみまで余すところなく描こうとする姿勢が貫かれた素敵な絵本です。
この書籍を作った人
1952年新潟県生まれ。出版社ごとにテーマや表現方法を変えて、多様な世界を展開している。『鳥の島』で絵本にっぽん賞受賞。ライフワークの『落語絵本シリーズ』(クレヨンハウス刊)、『風来坊シリーズ』『お化けシリーズ』(BL出版刊)など、著作多数。絵本研究家としても知られ、絵本作家ならではの的を射た絵本解説も好評。
この書籍を作った人
1968年岐阜県生まれ。愛知県育ち。大阪府立大学経済学部、MASA MODE ACADEMY OF ART卒業。主な受賞歴:日仏会館ポスター原画入賞、HBファイルコンペ藤枝リュウジ大賞、東京イラストレーターズソサエティ公募プロ部門銅賞など。TIS会員。主な絵本作品:『にんじゃサンタ』『おこさまランチランド』(ともにPHP研究所)『ふじさんです』(教育画劇)。
みどころ
すやすや、気持ちよさそうに眠りこんでいるとらさん。
かえるくんたちは、とらさんの向こうがわへ、風船を運ばなければなりません。
とらさんを起こさずに向こうへ行くには、いったいどうしたらいいのでしょう?
そのとき、かえるくんがいいことを思いつきました。
風船を使って、とらさんの上を飛んでいけばいいんだ!
みんな風船でふわふわ、次々とらさんの上をこえていきますが……。
あっ、風船がだんだん落ちてきた!
とらさんは、なんだか目を覚ましそう。
このままじゃあ、とらさんが起きちゃう!
おねがい、みんなもてつだって!
風船が落ちないように、ふーふー吹いてあげたり――、
とらさんを寝かしつけるために、おなかをぽんぽんと叩いてあげたり――。
読み聞かせるだけじゃなく、子どもたちを物語にまきこんで、おもちゃのようにいっしょに遊ぶことのできる絵本。
「親子でいっしょに楽しむ」という、コミュニケーションツールとしての絵本の側面が存分に活かされた、おすすめの一冊です。
さあ、絵本を使って遊んでみよう!
ちいさな体の動物たちと、おおきなとらさんとのかわいらしいコントラストが、物語の結末をよりいっそう、ほほえましく演出します。
この書籍を作った人
ドイツハンブルグ生まれ。ロンドンのセントマーティンズ・カレッジ・オブ・アート、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶ。子ども向け絵本および挿絵の分野で活躍しており、絵画展も多数開催されている。共にアーティストである夫、息子と一緒にベルリンで暮らしている。
この書籍を作った人
埼玉県生まれ。詩人、絵本作家。詩集に『ひつじがいっぴき』(フレーベル館)、『五つのエラーをさがせ!』(大日本図書)。創作絵本に『しきしきむら』シリーズ(岩波書店)、『おはようきょうりゅう』(教育画劇)、『ちょろちょろかぞく』シリーズ(理論社)、『はたらくんジャー』(フレーベル館)、『からだのなかでドゥンドゥンドゥン』(福音館書店)、『なになになあに?』(フレーベル館)。絵本の翻訳もてがけ、クリス・ホートン作『どうする ジョージ!』で第62回産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞。『クマのパディントン』(理論社)、翻訳絵本に『ヨゼフのだいじなコート』(フレーベル館)、『ともだちからともだちへ』(理論社)、『ピッツァぼうや』(セーラー出版)、『ぜったい食べないからね』他多数。
この書籍を作った人
1948年北海道旭川市に生まれる。 1972年から25年間旭山動物園の飼育係として、ゾウ、ライオン、フクロウなどさまざまな動物を担当する。 1996年旭山動物園を退職し、創作活動に専念する。 2009年北海道旭川市美術館にて「あべ弘士動物交響楽」展を開催。 その後、全国で作品展開催。 『あらしのよるに』(きむらゆういち文・講談社)『どうぶつえんガイド』(福音館書店)『ハリネズミのプルプル』(二宮由紀子文・文溪堂)『宮沢賢治「旭川。」より』(BL出版)『クマと少年』(ブロンズ新社)『ちび竜』(工藤直子文・童心社)『えほんなぞなぞうた』(谷川俊太郎文・童話屋)など著書は200冊以上。講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版賞JR賞、赤い鳥さし絵賞、産経児童出版文化賞美術賞、北海道ゆかりの絵本大賞、日本児童ペンクラブ児童ペン賞絵本賞を受賞など受賞多数。 2011年からNPO法人かわうそ倶楽部を設立、旭川市(7条通8丁目)にてギャラリープルプルを運営する。 2019年、絵本作家30周年記念として「あべ弘士の絵本と美術 ―動物たちの魂の鼓動―」(ふくやま美術館:広島)開催。カムチャッカ半島から千島列島を旅し、長年の夢であったウシシル島を訪れる。カナダノースウッズを訪れ、30sの荷物と20sのカヌーを担ぎながら湖を巡る。旭川市在住。
出版社からの内容紹介
松谷みよ子氏が監修した、朝鮮の民話絵本シリーズの第1弾。のどにささったかんざしを抜いて、危機から救ってくれた若者に、自分の一生をかけて恩返しをした、人食いとらのお話です。若者ととらの友情が、涙をさそいます。
レビューより
いい話でした。
最後は思わず涙が出そうになりました。(私が)
トラが恩返しでくれたものが、毎回結構すごいし、そのお礼のもののスケールの大きさに(運び方とか、選び方とか)、上の子は「わぁ〜、わぁ…」と、感嘆ばかりあげていました。
したのは、はじめは何も言わずにじっと見ていて、読み終えた途端、足踏みを始めで唸り始めました。
「どうしたの?」と問いただすと、…感動したそうです。
その何とも言えない感情が「足踏み」として、出てしまったようです。
(はっきり口で伝えてくれた方がわかりやすいですが)
松谷みよ子さんが監修されているそうですが、ということはどこかに原作があるんですよね?
ぜひ、原作もあったら読んでみたいです。
韓国の絵本は最近たくさん邦訳されていて、どれもレベルが高く、私は結構好きなんですが、その中でも、ダントツで心に残りました!!
(てんぐざるさん)
この書籍を作った人
1926年、東京生まれ。坪田譲治に師事。 1951年『貝になった子供』を出版、第1回児童文学者協会新人賞を受賞。以後、『ちいさいモモちゃん』(野間児童文芸賞)、『龍の子太郎』(国際アンデルセン賞優良賞)など、多数の著作がある。松谷みよ子民話研究室主宰。
この書籍を作った人
絵本作家。絵本創作に紙芝居、イラストレーションなどの創作の仕事やエッセイや翻訳も。代表的な作品に「とうさんかあさん」(石風社/絵本日本賞文部大臣賞受賞)「おかあさんがおかあさんになった日」(童心社/サンケイ児童出版文化賞受賞)、「せとうちたいこさん・デパートいきタイ」(童心社/日本絵本賞受賞)、紙芝居に「ねこのたいそう」(童心社)など。
出版社からの内容紹介
森に暮らすシカの三兄弟の末っ子は、体がお兄さんたちのはんぶんくらいしかないので「はんぶんくん」と呼ばれていました。おにいさんたちにくらべて、力もなく、足もおそくて、しょんぼりしていたはんぶんくん。でもある日、おそろしいおおきなトラが兄弟たちをねらってやってくると、はんぶんくんは……。
レビューより
はんぶんの大きさのシカは、三番目の弟のシカ。一番上の兄さんは、大きくて力持ち。二番目の兄さんは、早足でみんなに危険を知らせる役目。
はんぶんの大きさのシカは とりえがないのかな?
いえいえ 智恵のあるシカだったんですよ。
森に大きなトラがやってきた。
そのトラに向かって、なんと言ったと思いますか?
堂々とおおきな声で「おい、トラ! ぼくに かかってこい!」。
トラは、こんなに堂々としているのには、訳があると考えたんですって……。
このトラ、なんともとんまなトラです。顔も怖くなくて、かわいい顔をしてる。
トラをやっつけた、賢い小さなシカのはんぶんくん。
智恵があると 大きいものにも勝るということわざのようなお話でした。
(にぎりすしさん)
この書籍を作った人
翻訳家・編集者。1974年東京・ 国立市生まれ。祖父はトルストイ文学の翻訳家・北御門二郎。幼少期を熊本で過ごし、 大学卒業後、 児童書出版社に勤務。その後留学を経て、児童書の翻訳に携わる。2004年より、 東京・阿佐ヶ谷で家庭文庫「このあの文庫」を主宰。翻訳作品は『モミの木』『台所のメアリー・ポピンズ』(以上アノ二マ・スタジオ)「テディ ・ ロビンソン」シリーズ、『庭にたねをまこう! 』(以上岩波書店)、『たまごってふしぎ』(講談社)など多数。
出版社からの内容紹介
むかし、夜ごと村をおそうトラにこまりはてた王に、国の占い師が予言した。「王子をトラにさしだせば、国に平穏がおとずれる」と。王は、おさない王子をトラのすむ森に置き去りにするが…? 人間を憎みながらも、おさない者を愛する気もちを忘れなかったトラ。トラの元で強く優しい少年に育った王子。人とけもののあいだに生まれた絆が心ゆさぶる、迫力の大型絵本。中国の水墨画の手法で描かれた力強い絵は、各国で高い評価を得ています。
レビューより
表紙からすると少し古めの絵本かと思ったらさにあらず。
2005年の作品で、邦訳は2007年。
作者のチェン・ジャンホンは、中国生まれでパリ在中とありましたが、確かに絵は水墨画なのですが、コマ割に斬新さを感じました。
お話は、子ども達を猟師に殺されてたトラが村を襲うシーンから始まります。
トラの怒りを鎮める方法として王に予言者が告げたのは、ウェン王子をトラに差し出すこと。
ウェン王子は、トラと森の奥で出会うのですが、トラは我が子にしたようにウェンをくわえるのです。
それから、トラとウェンの暮らしが始まります。
動物に育てられた子というのは、実話でも聞いたことがありますし、物語でも登場することがあるので、さほど感銘は受けなかったのですが、そこに描かれている母の愛情に心打たれるものがありました。
特に、ウェンがトラの古傷に触った時にトラに蘇った怒りが、鎮まっていくシーンは秀逸です。
そして時は流れ、ウェンは助け出されるのですが、ウェンは人間からトラを守ります。
普通話はここで終わりですが、この作品の凄いところは、エンディングに新たな展開をさせていること。
文句なしのエンディングだと言えるでしょう。
話も良く練られているし、大型の絵本を縦横無尽に活かした迫力のある絵も素晴らしい。
でも、世のお母さんを虜にしたのは、根底に流れる母の子を思う気持ちに違いないと思います。
これは、必読書と言ってもいいくらいオススメの絵本です。
(ジュンイチさん)
この書籍を作った人
1963年中国の天津生まれ。北京の中央美術学院を卒業後、87年パリに移住。フランス国内外で作品展をひらく。中国の伝統的水墨画の手法を用いた迫力ある絵が高く評価され、画家として成功を収める。96年に絵本作家としてデビュー、ヨーロッパ各国やアメリカでも翻訳出版され、好評を博している。『この世でいちばんすばらしい馬』(徳間書店)は、05年にドイツ児童図書賞を受賞。他に『ウェン王子とトラ』(徳間書店)。
この書籍を作った人
1955年生まれ。早稲田大学文学部卒業。中央大学大学院修了。中央大学講師、フランス文学翻訳家。絵本の訳書に『たったひとりの戦い』『オオカミと石のスープ』『こわがりのかえるぼうや』『この世でいちばんすばらしい馬』『ウェン王子とトラ』『ハスの花の精リアン』(徳間書店)、『水曜日の本屋さん』『いつか、きっと』『ことりのギリ』(光村教育図書)など。
みどころ
トムがじっと見つめているのは、美術館にあるトラの絵。家に帰ると、トムは紙と色えんぴつをとりだし、大きな大きなトラの絵を描きました。緑の宝石のような目、とがった歯、とても立派なトラです。
その夜。トムの部屋にはふいに暗闇が広がり、壁には緑の目。トラが向こうからやってきたのです! 息をのむトムに、トラはのどをならしながら言います。
「さんぽに いこう」
でも……。怖がるトムを背中に乗せて、ふたりは月の輝く夜の散歩に出かけるのでした。そこで待っていたのは、昼間見た絵のように、奥深く続いていく森。キツネやライオンやクマがいて、ウナギの泳ぐ大きな川があり、さらに夜の遊園地や洞穴も。
「ぼく、ちょっとこわいんだ」
小さな声でトムが言えば、トラは必ず答えます。
「こわくなんてない。しっかりつかまって」
そうやって少しずつ克服しながら、トムはトラとの時間を存分に楽しむのです。やがて疲れて眠くなってきたトムは……。
その美しく、たくましく、そして迫力のあるトラの姿を見ながら目が離せなくなってしまったのは、トムだけではありません。私たち読者だって同じです。それもそのはず、この絵本はフランスの画家アンリ・ルソーの実際にある絵から生まれてきたものなのです。絵が子どもの心を捉え、怯えながらもその世界に魅了されていく。そんな豊かで繊細な心の模様を、ファンタジックな手法で描き出します。月の光に照らされるトラの表情と言ったら……。
この絵本に出会えた子どもたちの心には、どんな景色が残っていくのでしょう。忘れられない1冊になりそうです。
レビューより
少し怖がりなトムの大冒険です。
トラといっしょに夜の世界にとびだします。
こんな壮大な経験をすれば、もうこわいものもなくなりますね。
迫力のある絵と臨場感のある文章で絵本の中に吸い込まれるようです。
怖がりだけど、強いものへの憧れが強くなってきた年長さんの息子にぴったりの絵本でした!
(なりおママさん)
この書籍を作った人
東京生まれ。出版社勤務を経て、翻訳家・編集となる。JBBY会長、「アフリカ子どもの本プロジェクト」代表。青山学院女子短期大学教授。著書に『エンザロ村のかまど』(福音館書店)、『どうしてアフリカ? どうして図書館?』(あかね書房)など。アフリカ系アメリカ人を主人公にした絵本の翻訳に『ローザ』『わたしには夢がある』『つぼつくりのデイブ』『かあさんをまつふゆ』『むこうがわのあのこ』『川のうた』『リンカーンとダグラス』(以上光村教育図書)、『ひとりひとりのやさしさ』(BL出版)、『きみたちにおくるうた』(明石書店)、『イライジャの天使』(晶文社)、『ふれ、ふれ、あめ!』『ぼくのものがたり あなたのものがたり』(以上岩崎書店)、『じゆうをめざして』(ほるぷ出版)などがある。翻訳で産経児童出版文化賞、日本絵本賞、ゲスナー賞などを受賞している。訳書に『ゆき』『シャーロットのおくりもの』(ともにあすなろ書房)、『くらやみのなかのゆめ』(小学館)、『ひとりひとりのやさしさ』『やくそく』(ともにBL出版)など多数。
出版社からの内容紹介
たけやぶにすむものぐさでくいしんぼうのトラ、その名をトラノ・トラゴロウという…。表題作のほかトラゴロウのお話が7話。新版。
レビューより
私の手元にあるのは、1965年発行のものなので、現在のものとは、もしかしたら入っているお話が少し違うかもしれません。絵本ではなく児童文学ですが、他に類をみない面白さなので、紹介したくなりました。年長さんくらいからなら、読み聞かせも大丈夫だと思います。
「山のたけやぶに、とらがすんでいた。なまえは、トラノ・トラゴロウといった」という文から始まるお話が7つ入っています。
トラゴロウは昼寝をするのが大好き。お腹はすくけれど、何とか楽をして食べ物を手に入れたいので、他の動物を脅したり、便利な機械を使って目的を達成しようとします。でも、すべて失敗。やっぱり自分で考えて、自分で動かなくちゃね。というような内容のお話です。トラゴロウは威張ったりするけれど、すごく抜けているところがあるので、すぐピンチに陥ってしまいます。そこがなんともとぼけていていい感じなのです。
強烈な風刺や食うか食われるかのきわどさもたくさん出てきますが、そういうものが前面に出るのではなく、なんといっても話の面白さが先行するので、お説教くささはまったく感じられません。でも、読み終わった後に「あ〜面白かった。」という他に何らかの苦さが残っている様な気がするのです。その苦さがこの本を、ハチャメチャだけでは終わらせずに、しっかり地面に結び付けているのでしょう。
……なんていろいろ難しいことは考えずに、まずは手にとって、この面白さを堪能して欲しいと思います。
(金のりんごさん)
この書籍を作った人
1931年東京都生まれ。第37回小学館絵画賞、第6回日本絵本大賞、第25回講談社出版文化賞受賞。画集に『木版東京百画府』(京都書院)、『電車画府』(パルコ出版)など。絵本に『まがればまがりみち』『あじのひらき』(福音館書店)、『でんしゃえほん』(ビリケン出版)、『あなぼこえほん』(フレーベル館)、『ぼうし』(イースト・プレス)、『ぶらぶらどうぶつえん』『わっ』『やまのばんさんかい』(小峰書店)など多数。漫画、イラストレーション、本の挿絵など、幅広く活躍。多彩な仕事を紹介した『井上洋介図鑑』(河出書房新社)がある。
出版社からの内容紹介
アイゴー! とらが叫んで逃げ出した。アイゴー! とらにまたがり、どろぼうも叫ぶ。泣く子も黙る、恐怖の干し柿!? ゆかいな韓国の昔話を伝統の民画風に描いた迫力の絵本!
レビューより
翻訳者の方も書かれていますが日本でいうところの「ふるやのもり」です。
でも、さすが、韓国バージョンは韓国の昔話ではおなじみの「トラ」が主人公だったし、「ふるやのもり」と違って、後半部分の「さるのしっぽが短いわけ」には、つながらなかったです。
私は子どもの頃たぶん、幼稚園の年長の頃におばあちゃんから「ふるやのもり」を聞いたので、この似たタイプのお話も、幼稚園くらいのお子さんから楽しく聞ける(見られる)と思います。
この絵本の作者もおばあちゃんから聞いた話なんですって。なんか、親近感が湧いてしまいました。
一見厳つくて怖いトラが、最後の方にはかわいく思えてくるから不思議です。
他の作品もぜひ邦訳して読ませてほしいです。
(てんぐざるさん)
この書籍を作った人
白百合女子大学大学院修士課程終了後、日韓文化交基金フェロー、大韓民国政府招聘留学生として、韓国の児童文学について6年間ソウルで学ぶ。訳書に、『韓国の絵本10選』(アートン)、『とらとほしがき』『いぬとねこ』『おかあさんのおっぱい』『あめじょあじょあ』(光村教育図書)などがある。東京純心女子大学准教授。教育学博士。