
いつも寝てばかりで、仕事をしない酒好きの魚屋がおりました。 酒はこんどばかりでやめにする、明日からまじめに働くから! そう約束したけど、やっぱりぐうたら。 妻に尻を叩かれ、ようやく仕入れに出た先で——
魚屋、まさかの、大金入りの財布をひろった!
ひろったからにはおれのものだと、友だちを呼んで豪遊三昧!
「急に大勢友だちひっぱってきて、おまえさん、なにかめでたいことがあったのかい?」 「あったじゃねえか。しばの浜で、革の財布をひろってきたじゃねえかよ」
ところがどうして、当の財布がどこにもない。 なんと、お金をひろった夢をみていたらしい。 しかも、豪遊ばかりは現実で、支払う金なんてありゃしない。
酒好きの魚屋も、こんどばかりは自分の酒癖にほとほと懲りて……
笑える噺、怖い噺、そして、泣ける噺もある。 それが落語! くすりと笑えてほろりと泣ける、古典落語は人情噺の大名作、「芝浜」が絵本になりました!
「芝浜」は個人的にも大好きな噺のひとつで、聞くたびに「やっぱり落語っていいな」と思わせてくれる演目です。 一年を締めくくる大晦日という、どこかふわふわと心わきたつ日を舞台に描かれる夫婦愛と、そしてその美しく粋なオチに、いつでも泣かされてしまいます。
絵本になっても魅力はそのまま! 波立つ青の表紙がさわやかな、あらたな「芝浜」が誕生しました。 くすりと笑えてほろりと泣ける、人情噺の醍醐味を味わうことのできる一冊です。
脈々と話し継がれてきた「泣ける落語」の魅力を、ぜひ絵本でたのしんでください。
(堀井拓馬 小説家)

酒ばかり飲んでいた男が妻にお尻をたたかれて仕事に出た朝、浜で見つけたのは、金がずっしり入った革の財布。急いで家に戻って、そして…。 思う気持ちがしみる人情噺。 人間国宝・柳家小三治監修、好評『しにがみさん』 『ねこのさら』 に続く本格らくごえほん。 豊かな木版画の味わいがお話を盛り上げます。こどもも大人も楽しめる人気シリーズです。

落語の絵本は、無条件に「わははー」となるものと
人情味があふれるものがありますね。
この本は、人情話の方です。
ぐうたらの主人が、酔って大金を拾ってきたものを
ネコばばせず、届け出
主人には「夢だったのよ」という女将さん。
月日がたって、酒をやめ真人間になった主人に
酒をすすめながら「あれは夢じゃなかった」と言ったとき
主人は「また夢になっちゃいけない」と酒を断ります。
この流れがもう・・私は泣けて泣けて・・・。
(その時の絵が、幼い息子なんですよね・・)
シリーズ本の「しにがみさん」もそうだけど
人間の心を深く探ってくる
とても染み入る一冊です。
(やこちんさん 50代・ママ 女の子14歳)
|