
戦争に行って、長い間、家にいなかった父。「父さん」と気軽に呼びかけることさえできない娘。そんなふたりはいっしょにカラス狩りに出かけます。娘リズはカラスを呼ぶカラス笛をもって。そして父は銃を持って――。二度、ニューベリー賞を受賞した作家ロイス・ローリーが、多感な少女時代の自分と父との思い出を描きだしています。カラスが群れる荒涼とした丘、落ち葉が重なる深い秋の山を背景に、微妙な心の動きを見事に描く秀作絵本です。

戦争で長い間不在だった父親と狩りに出かける少女の実話物語です。
言葉がなくても父と娘が会話できているのが素晴らしいと思います。
それだけ心が通い合っているのです。
しかし、話の奥には大きな問題指摘があります。
戦争を経験してきた父親は、戦争の怖さを感じなくなったことを娘に語ります。
その父親が、「ハンター」として畑を荒らすカラスを退治しようというのです。
カラスにも子育てのような事情があるのではないかと娘は思います。
父親は、子育ての時期は終わって、もう子どもだとわからなくなっている時期だと諭します。
父と娘の中に、「戦う者」と「戦いたくない者」の構図が浮かび上がります。
娘は父親の大好きなのだけれど、「ハンター」としての父が少し怖いのです。
丘でカラス笛を吹いてカラスと戯れる娘の姿は圧巻です。
そして、その娘を見て父親は鉄砲を使いませんでした。
娘の気持ちが判ったからです。
解説的な文章を排して、心の微妙な揺れ動き、心のやり取りを表現しているので、見ている側も画面から呑みこまれてしまいます。
透明感のある映像のような絵、人物描写がとてもリアルでソフトで、映画を見ているような感じになりました。
父親にお薦めの1冊です。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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