原題を直訳すれば「愛と友情」ということにはなるのですが、「愛すること」と言ったときに妙に甘酸っぱい、特定の相手を対象にした思いのこもった感情を想定してしまいます。
だから、この絵本の中に入った時に、自分が自分を映し出す鏡の迷路に入ったような心持ちになりました。
自分が他者とどの様に関わるか、自分が自分自身とどの様に向き合うか、そんな観念的な問いかけの中に入りこんだように思いました。
愛とか友情とかという言葉は、肯定感のある言葉です。
憎しみとか敵対心という言葉と置き換えると、その差異に気づかされます。
受容とか共感とか、人を認め合う時に「愛とか友情」は存在するのでしょう。
それは自分自身に対しても同じに思えました。
この絵本は、読者に対する問いかけで終わります。
存在感のある人形で作られたイラストが絶妙です。
最後にスッキリした気持ちになれたら、この絵本は救いとなるでしょう。