テストの点数、クラスでの立ち位置。あまりにも身近な学校という世界の物差しだけで、私たちは日々の価値を測ってしまいがちです。この本は、そんな凝り固まった日常に、静かに、しかし力強く揺さぶりをかけてきます。
写真家・長倉洋海のレンズが映し出すのは、世界各地の多様な「まなび」の風景です。灼熱の太陽の下にある青空教室、道具も揃わない中で探求心に輝く瞳。そこには、私たちが忘れかけていた学習の根源的な喜びと切実さが満ちています。
そもそも「まなぶ」とは何なのか。整備された校舎で机に向かうことだけが、その全てなのだろうか。一枚一枚の写真が、当たり前だと思っていた私たちの前提を、根底から問い直してくるのです。
答えを教えてくれる本ではありません。しかし、読み終えた後、自分のいる世界の小ささと、学ぶことの普遍的な尊さを同時に突きつけられます。日々の風景が少し違って見えるようになる、そんな視野の広がりを与えてくれる一冊です。