眠れないとき、よく、羊の数をかぞえる…なんていいますよね。
主人公の女の子、ドゥンネは、羊じゃなく「あたしって、しあわせ!」と思ったことを数えます。
ドゥンネの家族は、パパとねこのカッテン。ママは、ドゥンネがあかちゃんのときに病気で死んでしまいました。
でもドゥンネは、パパの愛情につつまれ、ときどきはママの親戚がいっぱいいるイタリアにいって「アモーレ」につつまれます。
前向きなドゥンネだけど、小学校にあがる前はちょっぴり不安でした。
学校って、どんなことするのかなぁ…。ともだちがひとりでもできなかったら、どうしよう…。
はじめは休み時間にひとりぼっちだったドゥンネですが、エッラ・フリーダという女の子と仲よくなります。
さあ、それからは、いつも2人はいっしょ!
けんかもするけれど、「あたしって、しあわせ!」と思うことだらけの毎日。
でもその毎日は終わりを告げます。エッラ・フリーダが遠くへ引っ越してしまうからです…。
全編にわたって、ドゥンネが前向きに「しあわせ!」に毎日をすごしていることが心を打つ、けれどさりげない日常のお話です。
大人にとっては大事件が起こらない平凡な日でも、子どもにとっては毎日事件がいっぱい。
ドゥンネは、エッラ・フリーダが引っ越していってしまったあと、ちょっとしたことでも涙が止まらない日々を送ります。
でもドゥンネは、「あたしって、しあわせ!」と思うことを忘れません。本当は…ちょっと自信がなくなるときもあるけど…。
読み終えて、7歳のわが家の娘は「あ〜、いいところで終わっちゃった!」といいました。
ドゥンネとエッラ・フリーダが遊ぶところを、もっと読みたかったのだそうです。
本書は、スウェーデンの人気作家コンビによる作品。
どのページにも挿絵が入っていて、絵童話のような構成です。
漢字にはすべてにルビがふられていて、字も読みやすい大きさ。小学校低学年からの1人読みにピッタリです。
ドゥンネみたいに「あたしって、しあわせ!」と思うことを数えながら毎日暮らしていけたら、素敵ですよね。
心にぽっと灯りがともるように、やさしい読後感の本です。
(大和田佳世 絵本ナビ編集部)
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