「かきたいな! かきたいな!」
ワクワク。うきうき。かきたい気持ちがとまらない。
主人公の「あかいろちゃん」は、ご覧の通り、かわいい赤えんぴつです。
自由に描ける場所をもとめて旅をしています。
筆入れのバスに揺られて、カタカタ コトコトやってきたのは、
文房具たちが自由気ままに暮らしている「ぶんぼうぐのくに」。
あかいろちゃんは、いろいろな紙の上を旅をしながら、たくさんの個性的な文房具たちと巡りあいます。そのたびに「かきたい」気持ちがおさえきれず、みんなの描いたものや作ったものに、ちょっぴり自分の赤鉛筆でかき足して、みんなが笑顔になる幸せの赤いしるしを残していくのです。それでも、まだまだ「かきたい」あかいろちゃんは、分度器や三角定規の山や谷を越え、途中転んで赤鉛筆の芯を折りながらも、先を目指します。
そして、最後にあかいろちゃんがたどりついた場所は・・・。
どんなにかいてもかきつくせない程、どこまでも続く紙一面の真っ白な画用紙の丘だったのです!
可愛らしいユーモアたっぷりの文房具たちが小さな音をたてながら、お互いに好きなことをして暮らしている、そんな素敵な世界を描いたのは、この絵本が3作目の作品となる井上コトリさん。
井上さんが描く画面せましと動き回る楽しそうな文房具たちの様子には、冒頭からすっかり魅了されてしまいます。文房具の世界を彩る紙の地面にはられた小さなお花や動物のシールや犬のように駆け回るのはクリップたち。ハサミ鳥が切った紙をのりたちが糊付けして作り上げた紙の木。それをセロハンテープが地面に貼って森を作っていたりと、それぞれのページにはたくさんのみどころがあります。個人的には、「あー はかりたい はかりたい なにかの ながさを はかりたい」と、突然シュパシュパやってきて、あかいろちゃんをシュパっとはかって一言「15センチ!」と言い放ってそのまま走り去る「ものさし」に思わずクスッと笑ってしまいます。
最後に、あかいろちゃんが画用紙の丘で描いたものってなんだったのでしょうね。
さぁ、旅ははじまったばかり。どんな出会いが待っているのかな。たっぷりと絵本の世界で楽しんでくださいね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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