むかしむかしの大昔。日本の山たちは、ときどき、すもうをとっていたそうな。
ある日、日本一の横綱、ふじさんに挑戦したのが、九州のさくらじま。
「どっちがつよいか すもうをとるでごわす」
「よーし、しょうぶだ」
というわけで、まわしをしめたふじさんが、ずしーん、ずしーんと周りをゆらしながら関ヶ原の土俵をめざして歩き出します。
さくらじまは、瀬戸内海の波をかきわけてすすみます。
行司は、いぶきやま(滋賀と岐阜の県境にある山)。
しおまきをして、いざ、「みあって、みあって、はっけよーい・・・のこった!」
さて勝負はどちらに軍配が!?
大きな山と、小さな山。子どもはどっちを応援するでしょう。
さくらじまが力を入れたとき、頭から煙をふきあげるのもご愛嬌。
子どもは意外とおすもうが好き。
土俵から先に出たのはどっち? 足は出ていない?
よーく見ていて、大人が気づいていないことを教えてくれたりします。
シンプルな筋書きながら、けっこう盛り上がる読み聞かせが楽しい本。
パパの読み聞かせにもおすすめです。
本の巻末に、すもうとりの「四股名(しこな)」について、作者のひとことがあったりして、「へえー」と納得させられるかもしれません。
「ゆうた山」や「けんた川」と、子どもの名前を四股名ふうにして、すもうで遊ぶのも楽しそうだなと思える、やさしいタッチのすもう絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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