世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
絵本紹介
2025.05.14
あぁー、今日は雨かぁ。窓の外を見てがっかり。お散歩やピクニックにレジャー、お楽しみはキャンセル。空をおおう雨雲を見上げてはやみそうもない雨にまた、ため息。あーぁ、雨の日なんてつまらない!
お天気ばかりはどうしたってコントロールできませんが、気は持ちようです。雨がテーマの楽しい絵本を開いてみたら……?
外は雨、退屈しているピートにお父さんが誘ったのはピザ作り。こねて、のばしている生地はピート?!『ピッツァぼうや』をまねて、誰かのピザを作ってみては!大きな水たまりをのぞいたら、大変、動物たちが落っこちてる!『みずたまり』はカラフルなイラスト、ウィットあふれる展開に釘付け。「あなにおちたよ あいたたた」谷川俊太郎さん、まどみちおさん、工藤直子さんなど57篇の詩のアンソロジー『しゃべる詩あそぶ詩きこえる詩』は声に出して読めば楽しさが増し増し!飯野 和好さんの絵も味わい深い一冊です。
同じく雨の日を過ごす登場人物たちに笑ったりキュンとしたり、ほっこりしたり、そうしている間に心はすっかり晴れ模様。雨降りだって悪くないものです、そう、楽しまなくっちゃ!
この書籍を作った人
1907年アメリカのニューヨーク市生まれ。ニューヨーク市立大学とニューヨーク・デザイン・アカデミーで学び、23歳のとき時事漫画家としてデビュー。28歳で子供向けの本に手を染めて以来、絵本作家・物語作家としても活躍。「ロバのシルベスターとまほうのこいし」(評論社)でコールデコット賞・ニューベリー賞、「アベルの島」(評論社)でニューベリー賞を受賞。
この書籍を作った人
埼玉県生まれ。詩人、絵本作家。詩集に『ひつじがいっぴき』(フレーベル館)、『五つのエラーをさがせ!』(大日本図書)。創作絵本に、『クリスマスべんとう』(教育画劇)、『なになになあに?』『はたらくんジャー』(フレーベル館)、『からだのなかでドゥンドゥンドゥン』(福音館書店)、『おっとっと』(講談社)。絵本の翻訳もてがけ、クリス・ホートン作『どうする ジョージ!』(BL出版)で第62回産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞。『クマのパディントン』『ともだちからともだちへ』(理論社)、『ヨセフのだいじなコート』(フレーベル館)、『ピッツァぼうや』(らんか社)、『どんないえにすみたい?』(好学社)、『おなじそらのしたで』(ひさかたチャイルド)、『クレヨンからのおねがい!』(ほるぷ出版)他多数。
この書籍を作った人
Makoto Ueda 1973年静岡生まれ。画家。『イラストレーション』誌「ザ・チョイス」1998年度・大賞受賞。『マーガレットとクリスマスのおくりもの』(あかね書房)で日本絵本賞を受賞。絵本、装画、挿絵、CDジャケット、広告の仕事など、幅広く活躍している。自作の絵本に『スケッチブック』(ゴブリン書房)』、『まじょのデイジー』(のら書店)、『おやすみのあお』(佼成出版社)、『ぼくはかわです』(WAVE出版)、挿絵に『雨ふりマウス』(竹下文子・文 アリス館)『絵描きの植田さん』(いしいしんじ・作 ポプラ社)『わたしのおじさん』(湯本香樹実・著 偕成社)『りゅうの目のなみだ』(浜田廣介・作 集英社)『トトンぎつね』(今江祥智・文 フェリシモ出版)、『えのないえほん』(作・斉藤倫 講談社)など。装画に『号泣する準備はできていた』(江國香織・著 新潮社)などがある。
みどころ
スイス生まれの絵本作家、デュボアザン描く、カラフルな動物たちの姿が楽しい絵本です。
ある日、一羽のめんどりが機嫌よく庭で餌をつついていると、ちょうど近くに大きなみずたまりが広がっていました。
めんどりはみずたまりをのぞきこみ……「コケーッ! まあ、たいへん! かわいいめんどりが、みずのなかにおっこちてるわ!」
あわてためんどりは、納屋のそばでとうもろこしを食べている七面鳥に知らせます。
走って見に行った七面鳥は「ちがう! おっこちてるのは、かわいいめんどりなんかじゃない。おおきなりっぱなしちめんちょうだ!」
さあ、今度は、七面鳥の話を聞いたぶたがよたよたやってきます。
ぶたもまた、みずたまりをのぞきこみ……。
だんだん動物は増えて、上を下への大騒ぎ。いったいどうなっちゃうの!?
横長の画面(右片面)いっぱいに描かれた構図が魅力的。
白い大きなみずたまりに次々動物たちが顔をのぞかせ、「たいへんだ!」「(自分とおなじ動物が)おっこちてる」「たすけてあげなきゃ!」と思い込みます。
左から、右からと、それぞれやってきてのぞきこみ、その後の右往左往ぶり、大さわぎぶりといったら!
解決してそれぞれに去っていく姿もチャーミングです。
そしてまた動物たちのなきごえが楽しいこと!
「コケーッ!」「クルクルッ」「フゴ、フゴ! ブヒ、ブヒ!」と声に出して読んでみれば、そのおもしろさがきっと子どもをとらえること間違いなし。
(ちなみにわが家の3歳の男の子は「ブタがすき!」だそう)
文を書いたのはアデレイド・ホール。原書が出版されたのは1965年だそうですが、じつに構成がたくみで、あざやか。
おはなし会で重宝しそうな1冊です。
絵を描いたデュボアザンの魅力もあいまって、のどかな農場の風景の中に、あかるい幸福感が感じられます。
自然のふしぎさや、生きているおもしろさがさりげなく伝わってくるハッピーな世界観、子ども時代にぜひ味わってもらいたい一冊です。
この書籍を作った人
1904年スイス ジュネーヴ生まれ。1925年、アメリカに渡る。息子のために絵本を作ったことがきっかけとなり、絵本作家・イラストレーターとして活躍。1980年没。主な作品に『ロバのロバちゃん』(偕成社)、『しろいゆき あかるいゆき』(BL出版)、「ごきげんなライオン」シリーズ、「がちょうのペチューニア」シリーズなど多数。
この書籍を作った人
〈1974年-〉東京都生まれ。学生時代を熊本で過ごし、卒業後、児童書版元に入社。その後、留学などを経て、子どもの本の翻訳に携わる。東京・阿佐ヶ谷で家庭文庫「このあの文庫」を主宰。祖父はトルストイ文学の翻訳家、故・北御門二郎。
みどころ
お庭でかたつむりを見つけたまーくん。ママに見せようと思ったのに、ママは妹とお昼寝中。いくら呼んでも「うーん」と言ったきり。
「ママなんか きらい」
すねてしまったまーくんが一人でお庭にすわっていると、ぽつんぽつん、サァーと雨が降ってきた! まーくんはパパの大きな傘を持ってきて……。
なんでもないような、でもまーくんにとっては長い午後。妹にかまってばかりで相手にしてくれないママ、大きな傘の下で一人雨の音を聞くまーくん、そのうちにザーザー降りになってくると、いつの間にか横にママ。天気の移り変わりと一緒にまーくんの気持ちも揺れ動きます。色鉛筆で丁寧に描かれたお庭の木々や花壇、雨に濡れてしっとりと輝き出すあじさいの花に小さなかたつむり。そんな風景が優しくまーくんを包み込みます。
「ねえ、ママ」
やがて雨もやんできて、二人ともにっこり。
よかったね、まーくん。
この書籍を作った人
神奈川県横浜市在住。子育てをしながら独学で絵本を描き始め、絵本ワークショップ「あとさき塾」にて学ぶ。本とうさぎが大好き。本書がはじめての絵本。
この書籍を作った人
加古里子1926(大正15)年福井県武生町(現・越前市)生まれ。1948年東京大学工学部卒業。工学博士。技術士。民間化学会社研究所に勤務しながら、セツルメント活動、児童文化活動に従事。1959年から出版活動にかかわり、1973年に勤務先を退社後、作家活動とともに、テレビニュースキャスター、東京大学、横浜国立大学などで児童文化、行動論の講師をつとめた。また、パキスタン、ラオス、ベトナム、オマーン、中国などで識字活動、障がい児教育、科学教育の実践指導などを行い、アメリカ、カナダ、台湾の現地補習校、幼稚園、日本人会で幼児教育、児童指導について講演実践を行った。『だるまちゃんとてんぐちゃん』『かわ』(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)、『富士山大ばくはつ』(小峰書店)など、500冊以上の児童書の他、『伝承遊び考』(全4巻・小峰書店)など著書多数。土木学会著作賞、日本科学読物賞、児童福祉文化特別賞、菊池寛賞、日本化学会特別功労賞、神奈川文化賞、川崎市文化賞、日本児童文学学会特別賞、日本保育学会文献賞、越前市文化功労賞、東燃ゼネラル児童文化賞などを受賞。
この書籍を作った人
1972年、福岡県生まれ、宮城県に育つ。福島大学経済学部卒業。デザイン会社勤務を経て独立後、絵本作家、銅版画家として個展を中心に活動。2000年、ボローニャ国際児童図書展の絵本原画展入選。おもな絵本に『フィオーラとふこうのまじょ』『マルーシカと12の月』(かんのゆうこ/文)『あきねこ』(かんのゆうこ/文)(以上、講談社)、『かいぶつトロルのまほうのおしろ』(アリス館)などがある。
この書籍を作った人
ソウルの弘益大学校で視覚デザインを、ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツでイラストレーションを学ぶ。ほかの作品に『野球のボール』『かくれんぼ』『おこめのごはん むぎごはん』(いずれも未邦訳)などがある。
この書籍を作った人
東京生まれ。同志社大学卒業。主な翻訳絵本に『しりたがりやの ふくろうぼうや』『ケーキがやけたら、ね』『ババールの美術館』『おねがい パンダさん』『女王さまのぼうし』『あたし、うそついちゃった』『たった ひとつの ドングリが―すべての いのちを つなぐ』『まほうの さんぽみち』『この まちの どこかに』「あおい ちきゅうの いちにち」シリーズ(すべて評論社)などがある。
この書籍を作った人
パフォーミング・アーテイスト 京都生まれ。東京女子大卒。劇団四季・仮面座を経て、1977年、詩人谷川俊太郎らと「ことばあそびの会」を設立。以来一貫して“ことば・パフォーマンス”の道を歩き詩やことばあそびをステージ構成し、表現するジャンルを確立。子ども向けのステージ「やってきたアラマ先生」は全国を巡演し500回を声、NHK教育テレビ「あいうえお」にもレギュラー出演中。著書に『いっしょにあそぶ?』(冨山房)『ことばじゃ ことばじゃ ことばじゃ』(太郎次郎社)、『しゃべる詩あそぶ詩きこえる詩』(冨山房)、『あいうえおとaiueoがあいうえお』(小学館)などがある。
この書籍を作った人
1947年埼玉県秩父生まれ。絵本に「くろずみ小太郎旅日記」シリーズ(クレヨンハウス)、『おせんとおこま』(ブロンズ新社)、『みずくみに』(小峰書店/第20回日本絵本賞受賞)、『ふようどのふよこちゃん』(理論社)、「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズ(福音館書店/その1で、第49回小学館児童出版文化賞受賞)、挿絵に「小さなスズナ姫」シリーズ(偕成社/第11回赤い鳥さし絵賞受賞)などがある。絵本の読み語り講演で、股旅姿で全国を渡り歩いている。
文/竹原雅子
編集/木村春子