岩波少年文庫 ハヤ号セイ川をいく
- 作:
- フィリパ・ピアス
- 訳:
- 原田 勝
- 出版社:
- 岩波書店
絵本紹介
2026.05.22
お出かけの予定は、あいにくの雨でキャンセルに。せっかくできた時間、何をしよう……そんな手持ち無沙汰の一日こそ、ぜひ本を手にとってみませんか。雨音をBGMに、ゆっくりじっくり物語の世界に没入するひとときは、何にも変えがたい味わい深い体験です。
雨の日の読書にぴったりの児童書や、大人の心に響く絵本をピックアップしました。
人嫌いのアッホ夫婦の隣に越してきたのは、天使のように善良なラブリー一家。なんとか追い出そうとするけれど空回り、トンチンカンなバトルが勃発!『ロアルド・ダールコレクション(4) アッホ夫婦のおとなりさん』はロアルド・ダール作品に着想を得た英国人作家による、オリジナル・ストーリーです。
「アニーはおれのことが好きだ」とうぬぼれているリッチー、でも実はアニーは大っきらい!ある日、アニーの愛犬が行方不明になったことをきっかけに、その関係は思いがけない展開に…… 日記形式で描かれる『アニーとリッチー』は読後感のさわやかな物語。
海のなかへもぐったり、外国で暮らしたり、宇宙でサッカーしたり、その充実ぶりといったら! 雨の日の物語への旅は、私たちを夢中にさせてくれること、間違いなしです。
この書籍を作った人
(1900-1979)イギリスを代表する画家。代表作『チムとゆうかんなせんちょうさん』をはじめとする絵本作家として、また、ファージョンの『ムギと王さま』『年とったばあやのお話かご』など挿画画家としても高い評価を受けており、数多くの美しい本を残しています。1970年にはロイヤル・アカデミー会員にも選ばれました。 写真は、英国南東部ロドマーシャム・グリーンにある自宅の書斎における、晩年のエドワード・アーディゾーニ。次男ニコラス・アーディゾーニが1978年に撮影。
この書籍を作った人
1957年生まれ。東京外国語大学卒業。長編の翻訳に『弟の戦争』『ハーレムの闘う本屋』『ペーパーボーイ』『コピーボーイ』『ヒトラーと暮らした少年』『夢見る人』、絵本の翻訳に『夜のあいだに』『セント・ギルダの子』などがある。
この書籍を作った人
翻訳家。英米の絵本や物語の翻訳を手がける。おもな絵本の翻訳に『ずーっと ずっと だいすきだよ』『まじょとねこどんほうきでゆくよ』『グラファロ―もりでいちばんつよいのは?―』『スパーキーとスパイク―チャールズ・シュルツとせかいいちゆうめいなイヌのおはなし―』(すべて評論社)などがある。
この書籍を作った人
60年間に及ぶキャリアで、300冊以上の本にイラストを描き、ロアルド・ダール、マイケル・ローゼン、ラッセル・ホ−バン、ジョン・ヨーマンなどの作家とともに仕事をする。ロンドンに住み、2013年には、イラストによる貢献に対してナイトの称号を授与されている。1980年ケイト・グリーナウェイ賞、1996年ボローニャ・ラガッツィ賞(児童書フィクション部門)受賞。
この書籍を作った人
東京都生まれ。作家・翻訳家。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。その後、児童文学の創作と翻訳をはじめる。創作絵本に『3じのおちゃにきてください』『まいごのまめのつる』(ともに、福音館書店)、訳書に『3びきのかわいいオオカミ』『きみなんかだいきらいさ』(ともに、冨山房)、『はがぬけたらどうするの?せかいのこどもたちのはなし』『クレンショーがあらわれて』(ともに、フレーベル館)、『ふくろのなかにはなにがある?』(ほるぷ出版)などがある。
この書籍を作った人
〈1974年-〉東京都生まれ。学生時代を熊本で過ごし、卒業後、児童書版元に入社。その後、留学などを経て、子どもの本の翻訳に携わる。東京・阿佐ヶ谷で家庭文庫「このあの文庫」を主宰。祖父はトルストイ文学の翻訳家、故・北御門二郎。
みどころ
エルフィーとぼくは一緒に大きくなった。
世界で一番素晴らしい犬、エルフィー。
エルフィーのあったかいお腹をいつも枕がわりにし、毎日一緒に遊び、一緒に夢を見た。お兄さんや妹もエルフィーの事が大好きだったけど、エルフィーはぼくの犬だったんだ。
いつしか時が経っていき、ぼくの背がぐんぐん伸びる間に、エルフィーはどんどん太っていき、寝ている事が増え、散歩も嫌がるようになった。老いていったんだ。ぼくは、やわらかい枕をやって、毎晩かならず言ってやった。
「エルフィー、ずーっと、だいすきだよ」
ある朝、目を覚ますとエルフィーは死んでいた。家族はみんな悲しみにくれていたし、ぼくだって悲しくてたまらない。だけど、いくらか気持ちがらくだったんだ。だってそれは……。
愛するペット、愛する家族との死別。それは、小さい子どもにも大人にも、平等にやってくる逃れられない悲しい出来事。がんばって乗り越えることなんてできないけれど、でも気持ちを和らげてくれる方法はあるのだと、この絵本は伝えてくれます。
「だいすきだよ」
そう思っているなら、いつでも伝えてあげたい。言わなくてもわかる、たとえそう思っていたとしても。簡単なことなのに、なかなか気が付けないこと。だからこそ、この絵本の存在はとても大切なものだと感じるのです。
この書籍を作った人
他に「ぼくたち また なかよしさ!」「そんなのずるいよ! タイローン」「タイローンなんか こわくない」(以上、評論社)などの作品がある。
この書籍を作った人
翻訳家。英米の絵本や物語の翻訳を手がける。おもな絵本の翻訳に『ずーっと ずっと だいすきだよ』『まじょとねこどんほうきでゆくよ』『グラファロ―もりでいちばんつよいのは?―』『スパーキーとスパイク―チャールズ・シュルツとせかいいちゆうめいなイヌのおはなし―』(すべて評論社)などがある。
みどころ
ぼくとくろは、いつも一緒。遊ぶときも、寝るときも。自転車に乗って、少し離れた草原まで行くこともある。でも今日は、くろが急に走りだした。いつもの大きな木をこえて、線路をこえて、道路もこえて。
「わん わん わん」
「まって、まって」
それでも、くろは走りつづける。どこまでいくの? もう帰ろうよ。しばらくすると、あおいにおいがしてきて……。
いつもの道をはずれて、くろが連れていってくれたのは、思わぬ場所。少しこわい思いもしたけれど。母ちゃんにもちょこっと怒られたけど。それはとっても素敵なところ。
少し遠くへ。少年と犬の日常の世界が広がった日のできごとを、躍動感あふれる力強い線と美しい色彩で生き生きと描きだしたこの絵本。繰り広げられるのは、目の前を勢いよく過ぎていく電車や、激しい風にうなる木々、嬉しくてはしゃいだ時間や、まっくろやみを駆け抜けた瞬間など、感情と景色が一体となった印象的な場面の数々。そして、すべてを優しく包み込む母親の体温。
ぼくにとっても、くろにとっても、きっと忘れられない一日になったのでしょうね。
この書籍を作った人
1975年北海道生まれ。絵本作家。2013年『しろねこくろねこ』(Gakken)でブラチスラヴァ世界絵本原画展、金のりんご賞を受賞。2019年『もみじのてがみ』(小峰書店)で同展金牌を受賞。他に『しろとくろ』(講談社)、『でんしゃ くるかな?』(福音館書店)、『やまをとぶ』(岩波書店)、『ゆきのゆきちゃん』(ミシマ社)など。現在は神奈川のいろいろな生きものが暮らす里で、家族と山を眺めながら、創作をしている。
この書籍を作った人
三重県生まれ。作家・編集者・絵本カタリスト®・JPIC読書アドバイザー。一般社団法人チャイルドロアクリエイト代表理事。桐原書店、朝日新聞社勤務後、フレーベル館に入社。児童図書、保育図書の編集者を経て、出版事業本部取締役をつとめた。著書に、絵本『バスが来ましたよ』(絵 松本春野/アリス館)、『ぼくたちのことをわすれないで』(絵 鈴木まもる/佼成出版社)『 ほんとうは、どうしたいの?』(絵 すみもとななみ/講談社)ほか。木村美幸名義の著書に、エッセイ『これだけは読んでおきたい すてきな絵本100』(風鳴舎)、『100歳で夢を叶える』(晶文社)、『絵本で実践! アニマシオン』(北大路書房) などがある。
この書籍を作った人
福島県生まれ。デザイン会社を経 てフリーのイラストレーターとなり、カレンダーやPR誌の表紙、本 や雑誌の挿絵等を手がける。絵本に「はなさくのんの」、「おひさま のはな」(月刊絵本/至光社)、「やまのおんがく」(岩崎書店)がある。
この書籍を作った人
1940年大阪府堺市生まれ。画家。京都市立美術大学染織図案科卒。「じごくのそうべえ」で第1回絵本にっぽん賞受賞。世界絵本原画展金牌、小学館絵画賞、ライプチヒ国際図書デザイン展銀賞受賞。他に「そうべえごくらくへゆく」「そうべえまっくろけのけ」(以上童心社刊)などがある
この書籍を作った人
1914年フィンランドの首都ヘルシンキで生まれる。スウェーデン系フェンランド人。彫刻家の父と画家の母を持つ、生まれながらの芸術家。家にはアトリエがあり、常に生活の中にアートが。そんな環境から自然と芸術家への道を歩み、はやくから挿絵画家、風刺画家、短編作家としても活躍する。 20歳の時、水彩画「黒いムーミントロール」を描き、その後ムーミンシリーズ第1作『小さなトロールと大きな洪水』を発表。以後 1945年から25年間にわたって書きつづけた「ムーミン」シリーズは世界各国で多くの読者を生み、国際アンデルセン大賞ほかかずかずの賞を受賞。その後執筆された小説も高い評価を得ている。 2001年6月27日に86歳でご逝去。ムーミンコミックスで共著もしていた弟ラルスさんも後を追うように1年も経たない内にご逝去されました。
文/竹原雅子 編集/木村春子