母の必死のいのりで、かみの毛のはえなかったむすめは美しい黒かみをさずかるのですが・・・。紀の国につたわるお話。
日本の昔話というと『かぐやひめ』くらいしかなかなか思い浮かびません。西洋なら『シンデレラ』に『白雪姫』いくらでも思いつくのに。
でも、日本にもすてきなシンデレラストーリーがあるのです。それが、この『かみながひめ』です。
なんといっても、村の海女の娘から天皇の妃となり、聖武天皇を生んだのですから。
紀の国の海辺の村に長い髪の美しい娘が住んでいました。ある日その娘の髪の一本をツバメが都までくわえて、巣をつくりました。
その巣は藤原不等人の屋敷につくられていたのです。
その髪の長く美しいのに感心した不等人は、娘を探させます。
和歌山県の道成寺に伝わるお寺の縁起だそうです。
絵を描いているのが、秋野不矩さん。とても迫力のある素晴らしいものです。とくに嵐の海に身を投げるかみながひめのお母さんの絵は怖いくらいです。
子どものころ読んだ私が、この絵を覚えていたくらいの迫力なのです。
かみながひめの愛らしさもそれはすばらしく、西洋のお姫さまに負けていません。
日本のお姫さまにも頑張ってもらいたい私としてはイチオシ推薦の絵本です。
今、プリンセスブームの娘もお気に入りの姫の中に「シンデレラ」「白雪姫」「かぐやひめ」と一緒に必ずくわえる「かみながひめ」。ぜひ読み聞かせて、日本のお姫さまの奥ゆかしい魅力を伝えでほしいです。
(佐保姫さん 30代・ママ 女の子3歳)
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