ちいちゃんのかげおくり」 パパの声

ちいちゃんのかげおくり 作:あまん きみこ
絵:上野 紀子
出版社:あかね書房 あかね書房の特集ページがあります!
税込価格:\1,760
発行日:1982年08月
ISBN:9784251030115
評価スコア 4.81
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  • 子どもたちに伝えたい…、でも、せつない話

    からだの弱い人までも招集される、太平洋戦争終末期の悲惨さ。
    誰もが悲壮感を感じながら、思想統制で作られた使命感で自分を納得させようとしていた時代。
    こんなに悲しいお話が、絵本で見事に表現されています。
    読みながら、胸の中にこみ上げてくるものがありました。
    戦争の中で、家族が死んでいく。最後にちいちゃんも死んでいく。
    救いようのない話なのに、とてもソフトに描かれているのが、この本のやさしさであり、奥深さでもあると思います。
    息子は「悲しい話だね」と一言。
    あまんきみこの抑えた語りが素晴らしく、上野紀子の絵が幻想的で素晴らしく、両者の調和がさらに素晴らしいです。
    自分の心も空の上に放り上げられたような気がしました。
    余計な解説はせずとも、息子の心に響いてくれたと思います。

    投稿日:2009/04/24

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  • 児童文学者あまんきみこさんが1982年に刊行した絵本『ちいちゃんのかげおくり』は、挿絵を担当した上野紀子さんの描く女の子のはかない表情があまりにも心にささってきます。
     物語の舞台は身体の弱い父親さえも兵隊に徴兵されるようになった戦争末期の私たちの国。主人公のちいちゃんはまだ小さい女の子。やさしいお兄さんがいます。
     お父さんが出征する前の日、お母さんとお兄さんとちいちゃんで「かげおくり」という遊びをします。
     「かげおくり」というのは、「かげぼうしをじっと見つめて、しばらくして空を見上げると、かげぼうしがそっくり空に写ってみえる」そんな遊びです。
     ちいちゃんたちは記念写真みたいに空に写った家族4人の「かげぼうし」を楽しみます。

     しばらくはちいちゃんとお兄さんは「かげおくり」で遊べましたが、やがて戦争が激しくなってもう空は以前の青空ではなくなりました。
     そして、町に空襲が始まりました。
     ちいちゃんの住む町にも爆弾が落ちてきて、ちいちゃんはお母さんとお兄さんとで逃げます。でも、ちいさなちいちゃんはお母さんたちとはぐれてしまいます。

     それでもちいちゃんは元あった自分の家でお母さんたちを待ちます。
     待っても待ってもお母さんたちは帰ってきませんでした。
     そして、ちいちゃんもまた夏の朝、お母さんたちの「かげぼうし」を追うように空に昇っていくのです。

     戦争で亡くなったたくさんのいのち。
     今でも世界のあちらこちらで行われている戦争で、ちいさな命が失われています。
     この絵本が私たちに伝えようとしている思いをどうか世界中に広がりますように。
     そして、今でも忘れることなく、この絵本が読まれますように。

    投稿日:2025/08/10

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