「みえる、みえる。
おにいちゃんがみえる。」
おへそのあなから外を覗いているのは、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃん! 今はまだ生まれる前の、小さな小さな赤ちゃん。だから見える景色はさかさまです。
お兄ちゃんやお姉ちゃん、お母さんやお父さん。おばあちゃんおじいちゃんも、みんながそれぞれ心待ちにしている新しい家族。その様子をおへそのあなから見て、においをかいで、いろんな声を聴いて。そうして安心しながら「その日」を待つのです。
「さあ、おいでおいで。
生まれておいで。」
赤ちゃんが生まれるって、どういうこと? 新しい家族を迎えるってどんな感じ? お腹の中にいる赤ちゃんに、私たちの声は聞こえているの?……命の誕生にまつわるさまざまな気持ちを優しく包んでくれるこの絵本。お兄ちゃんお姉ちゃんになる子にも、今では大きくなったあの子にとっても。きっと何かを感じとってくれる温かなお話です。
そして、何より心に深く響く最後の一言。絵本をとじるたびに、大人はその感動を心にそっとしまい込むのでしょう。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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