お祭りの日。ぼくは、念願だった「きんぎょすくい」に挑戦。だけど、全然うまくいかない……ちょっと泣きそう。その時、隣にいた男の子がそっと金魚を一匹入れてくれた!
大事に育てるために、金魚鉢を買いに行ったその店にいたのは、昨日の男の子。3つ年上だというたろうくんは、夏休みの間に隣の町からおじいちゃんとおばあちゃんのところに遊びに来ているんだって。大事そうに見せてくれたのは、去年の「きんぎょすくい大会」でもらった2等賞のトロフィー。たろうくんは「きんぎょすくい名人」だったのです。
そこで、今年はぼくも一緒に大会に出ることに。
手作り「ポイ」と「ゼッケン」をつけて、たろうくんと1等賞めざしていざ特訓です。
まずは軽くストレッチ、そして深呼吸。
ななめにそーっと、ポイを入れて……
全くできなかった事に挑戦する「ぼく」のまわりに登場するのは、かっこいい年上のおにいちゃんとちょっと遠くから優しく見守ってくれる大人たち。自分で見つけた目標だから、大人は邪魔しちゃいけません。憧れの世界に飛び込んでいく時の気持ちというのは、何にも代えがたい大切な体験だからです。ひと夏だけれど、ずっと心に残っていくであろうこの出来事を瑞々しく描き出すのは松成真理子さん。夢中になっている男の子の顔って、なんて可愛いのでしょうね。
さて、きんぎょすくい大会当日。ふたりの結果はいかに?それは絵本を読んでのお楽しみ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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