まっしろの紙、こわがらなくたっていい。
思いきって……「ぐっちょん!」
たっぷり絵の具をつけた筆をおろせば、そこに色が生まれる。
「ずういいいいいい」
思いっきり筆をうごかせば、今度はギザギザのいきもの。
あれ、これって気持ちいい?
そう感じたなら、そのまま続けて!
「てんてんてんてん」「ぐるぐるぐるぐる」
もっと大きく、もっとちらかして!
バケツの水で手を濡らしたら、今度はそのまま
「しゅりゅううううううううう」
手だって、足だって。
からだ全部をつかって、もっともっと描く。
色んな形が現れては消え、色がどんどん重なって混ざって。
生まれてくるのはみんな……「わたしのえ」!
作者のはたこうしろうさんが「絵を描くのって、たのしい!きもちいい!」、そんな感覚を子どもたちに伝えたいと思い続けて生まれてきたのがこの絵本。読んでみれば、とにかく気持ちがいい。最初のページからずっと楽しくてうずうずしてくる。だって、この絵には「こたえ」も「きまり」も一つもない。ただただ、色と遊び、からだと遊び、すべてが思いつきで、順序だって気にしない、もちろん「評価」もない。
そう。「わたしのえ」はわたしのもの。
いつだって、何からだって自由で楽しいものでいいのです。
絵の具の色も、女の子の表情も、それは生き生きとしていて…
凝り固まった大人の心までをも開放してくれるような、絵を描く喜びにあふれた1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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