喜びと哀しみが隣り合う、現実世界を描き抜いた名作
4才の娘が涙をこらえて読んだ絵本です。
こちらの「チリンのすず」は、
やなせさんの「わたしが正義について語るなら」
という本で語られていて、
ずっと読んでみたいと思っていました。
「わたしが正義について語るなら」では、
戦争を体験したやなせさんは、
喜びと哀しみの感情や、複雑な社会のできごとに、
心を揺さぶられながら、
当時を生き、作品作りをされていたことが書かれていました。
実際に「チリンのすず」を読むと、
胸をつかまされる哀しいお話です。
表紙からは想像できない、
おそろしいけだものになるチリン。
いっしょに読んだ娘も、
涙を留めた目をして、
「どっちが先に死んじゃったの?」
「だれが死なせたの?」
「かなしいおはなし。」
自分の持っている言葉の中から、
感じたことやわからなかったことを、
声に出そうと言葉を探していました。
「こう感じてほしい」、
「こんな正義感をもってほしい」、
そんな親の雑念を横に置いて、
現実世界にある、喜びと哀しみが隣り合う状況を、
描き抜いた名作に、心が打たれます。
ところで、こちらの作品、
軽くおすすめできる作品ではないかもしれません。
なぜなら、うっかり読んでしまうと
哀しさに打ちひしがれてしまうかもしれない
と思うからです。
でも、「アンパンマン」以外のやなせさん作品を知ってから出会う「アンパンマン」は、
これまでとは違う「アンパンマン」だと思います。
アンパンマンとの再びの出会いに、ぜひ。
投稿日:2025/04/21